【「若手社長」が頑張る企業を分析してみた】40歳未満の社長比率が高い"意外な県"とは? 増収・増益率も社長の年代ごとに気になる傾向アリ
しかし、最新期の増益企業率(最終利益)に関しては、トップは40歳代で49.7%、そこに50歳代が49.1%、60歳代が48.18%で続き、「40歳未満」は48.10%と、わずかな差で4番手だった。利益を生み出す基盤が整った40~60歳代の経営する企業の増益率には、一歩及ばなかった。
また、減益企業率は「40歳未満」が45.9%と全レンジで最も高く、事業が軌道に乗ったばかりで、利益の創出に課題が残る企業も多いようだ。
ただ、4期前から1期前までをみると、増益企業率は「40歳未満」がトップで、70歳以上のレンジで落ち込んでいる。売り上げと同様に経営者が若いほど、利益を伸ばしやすい傾向に変わりはない。
社会全体で若者の起業マインドを高める環境整備が重要
ここまでを振り返ると、社長の高齢化が進むなか、情報通信業などを中心に「若手社長」が市場シェアを広げ、事業を大きく成長させていることがわかる。増収・増益企業率では、社長が若いほど業績を伸ばしている企業が多く、過去の成功体験や価値観にとらわれない柔軟な思考、新しい視点が企業を成長させる重要なキーワードになっている。
中小企業庁が発表した「2025年版中小企業白書」によると、2023年度の開業率は3.9%だった。1981年以降では、1998年、2022年に並ぶ最低水準で、国内の起業マインドが醸成される環境とは言いがたい。
起業にはさまざまな障壁がある。融資を受ける際の「経営者保証」のほか、少子高齢化が進む地方圏では、人材や資金などの制約に加え、同じ立場の起業家との交流が少なく、会社を設立しても成長未来図が描きにくい。「就職して安定する」ことが美徳という考え方が日本の社会に根付き、起業を「リスク」と捉える若者には心理的なハードルもある。
行政や金融機関では、融資制度や補助金などでの支援や相談窓口の設置などで起業を後押しするが、「開業率」を見る限り成果が顕著に表れているとまでは言えない。起業をサポートする仕組みの情報提供や、支援策を探る情報交換を活発化させることも必要だろう。
また、海外に比べて失敗を公に語りにくい文化が強く、大きな挑戦とリスクを避ける人も少なくない。言葉でいうのは簡単だが、あえて言うなら社会全体で失敗を許容する文化、再起しやすい雰囲気作りも必要だ。若い起業家が、安心して一歩を踏み出せる環境整備を促す施策がより重要になってきている。
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