主観を排した選手集めでチーム全体の力が向上した オークランド・アスレチックスGM ビリー・ビーン
しかし、他球団から見ればマイナスのこうした要因も、われわれからしてみれば解消が可能だった。たとえば出塁率が高かったスコット・ハッテバーグ選手は、腕に故障を抱えていて本職のキャッチャーというポジションをこなすには送球に不安があった。そこであまり強い送球をしなくても済む一塁手へのコンバートを条件に、他球団から引き抜いた。彼はシーズン20連勝に大きく貢献してくれた。
--02年もシーズン途中までは不振だったが、途中から快進撃が始まった。
私のコンセプトは当時としては異端であったため、当初チーム内でも受け入れられず、全体で共有するのに時間がかかった。また、まとまったデータを集計して分析するのに夏ごろまで時間が必要だった。われわれは、打者であれば個々の選手ごとにどのようなコースや球種に対して強いのかなどを分析していた。その結果を基に選手にアドバイスをしたところ、その効果が徐々に出始めた。
当時はこうしたデータ分析はあまり行われていなかったが、今では米国球界に広く浸透している。アナリストは高度な統計、ITスキルが必要とされる。データ分析競争も激化している。
--1997年のGM就任後、何度も地区優勝をしているが、ワールドシリーズ優勝は89年を最後に成し遂げていない。
言い訳になってしまうが、プレーオフのような短期決戦を勝ち抜くには運も必要だ。シーズンは長丁場の戦いのため、運の要素がならされ、実力が反映されやすい。