主観を排した選手集めでチーム全体の力が向上した オークランド・アスレチックスGM ビリー・ビーン

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--00年代初頭までの米国球界は、スカウトの眼力で有望な選手を見抜いて集めることが慣例となっていた。しかし、あなたは選手を評価する際にスカウトの目に頼らず、データ(選手の実績)を重視した。

スカウトの経験則や主観があまり当てにならないことは、私自身が身をもって思い知った。私は超高校級選手として期待され、ドラフト1位でニューヨーク・メッツに入団したが、結果を残せずに9年でユニホームを脱ぐことになった。

人の将来性を見抜くのは難しい。他人を評価するときには、どうしても偏見が入ってくる。そこで客観的なデータを重視することにした。

データは、勝利に結び付くものとそうでないものを峻別した。打者に関しては、それまで球界で重視されてきたのは打率と打点だった。しかし、この二つは偶然性に左右される要素が強い。当たりが悪くても、たまたま野手がいない所にボールが飛べばシングルヒット程度にはなる。多くの打点を上げられたとしても、それは自分の打席の前にランナーがたまっていたからだ。

そこでわれわれが注目したのは、こうした偶然性に左右されにくい出塁率と長打率だ。野球の攻撃ではアウトにならない(出塁する)こと、長打で多くの塁を奪うことが勝利につながる。出塁するために四球を選ぶことも立派な手だ。選球眼がいいことは評価ポイントになる。また、長打を打つにも、パワーなど特別な能力が必要だ。

こうして出塁率や長打率に優れた他球団の選手を探していると、評価が低い(年俸が安い)選手が何人か見つかった。彼らはすでに選手としてのピークを過ぎていたり、守備に不安があったりといった理由で不遇の扱いを受けていた。

 

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