"けんせつ小町"たちは、今日も現場で奮闘中 「男の世界」で働く女性が必要としていること
男性に囲まれての仕事について「あまりマイナスのギャップは感じたことがない。むしろ男性の職人さんのほうが最初はやりづらかったかも」(正道さん)と気遣う。業務は午前8時の朝礼から始まるが、正道さんはその1時間前の7時に出勤。終業は午後6時が目標、遅くても午後7時か8時には終わるようにしている。
疲れた体には、一日の終わりの事務処理がきつい。撮り終えた現場の写真や書類の整理作業はその日の仕事を終えてから。今後、現場で働く女性が増えるからというだけでなく、男女を問わず育児や介護を抱えている人にとってはこうした時間が貴重なのだ。
正道さんは独身で、会社の寮に住んでいる。将来の夢は「知識や経験もある、社内外から信頼される技術者になりたい」。その目指す人物像は「最初の現場でお世話になった上司」(同)だ。
「産休はとりたいが、それを機にやめようとは思っていない。仕事が続けられるように、いまから考えながら働いていきたい」(同)と胸の内を話す。
前職も施工職、キャリア採用で再び現場に
清水建設の、同じマンション建設現場で働く瀬井琴子(せい・ことこ)さん。キャリア採用で今年10月に入社したばかり。
武蔵工業大学の都市基盤工学科(現、東京都市大学)卒業後、別の会社でマンション建設の現場を6年半ほど経験。一級建築施工管理技士の資格も取得した。
現場の仕事は体力的に厳しいので、転職にあたっては内装だけの仕事を考えたが、「建築分野は広い。もっといろんな経験をしてみたい」(瀬井さん)という思いのほうが強かった。前の会社では、小さな現場で少人数、自ら動くことも多く、女性が働き続けられる環境整備が十分ではなかった。清水建設に入ってからは、大規模な現場で、管理能力が求められるようになった。
瀬井さんは「映画のセットのようなものをつくってみたい」と漠然と思い、大学に進学。トンネルや橋といったインフラ建設について学んだ。就活にあたっては、設計部門も考えたが、実際の現場を知らないといけないという思いから、施工現場を希望した。「現場は人と人のつながりが大切。会話などを通じて、いろいろな勉強ができて楽しい」(瀬井さん)という。
瀬井さんの将来の夢は「この仕事をやり続けている以上、所長なれたらいいな」。マンションだけではなく、商業施設やオリンピック関連施設など、業務の幅を広げることだ。
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