《日中関係》を「自衛隊の在り方」から再考してみた。風変わりな"バスツアー"に参加し、「幼少期」を追憶する。自衛隊や軍はどうあるべきか?

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このような自衛隊行事は、「安全保障・防衛」という閉ざされた領域を、外向きに開かれた文化的実践へと転換させる契機となっている。

普段は立ち入りが制限されている駐屯地が、住民や観光客に開放されることで、自衛隊の活動が「見える化」され、大衆との距離がぐっと縮まる。参加者は装備を「技術・労働・訓練の結晶」として捉え、そこで働く人々の努力を文化的価値として再評価できる。

富士山麓という象徴的な自然のもと、自衛隊と地域社会が共にイベントを築く構図は、「国防」と「地域共生」という異なる領域をつなぐ試みだといえる。

この行事は、「観光文化の多様化」という観点からも注目に値する。自衛隊の催しは、安全保障という重厚なテーマを、非日常の体験として親しみやすく伝える場へと変身させる。若者や海外の旅行者にとっては、「日本という国の仕組み」を知る教育的な機会ともなりうる。

駐屯地近くの神社
風変わりなバスツアーに参加し、駐屯地近くの神社にも足を延ばしてみた(筆者撮影)

中国でも解放軍の駐屯地一般公開がある

どの国の軍事駐屯地にも、公開できる範囲と非公開の範囲がある。実は中国でも、解放軍の基地が外国メディアに公開されたり、一般向けのイベントが行われたりすることがある。

中央軍事委員会の承認を受けて公布された「中国人民解放軍の駐屯地一般公開に関する規定」に基づき、各部隊は実情に応じて一般人を対象とした駐屯地公開イベントを実施している。公開の形式には、集中公開、予約公開、テーマ公開などがある。

例えば、2025年4月23日の海軍創設76周年を記念して、海軍の寧波駐屯地では公開イベントが行われ、オンライン予約をすれば無料でそれを見学することができた。また、解放軍駐香港部隊の海軍基地でも、香港市民に向けた公開日が毎年設けられている。

ただし、中国では写真や動画の撮影に注意が必要だ。特に外国人の場合、許可なくカメラを向けることが思わぬ誤解を招くこともある。

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