【アップル新製品】結局なにがすごい?買い替えは必要なの?《M5チップ搭載》で一新された「MacBook Pro」「iPad Pro」「Apple Vision Pro」を解説

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今後数年間、AI活用によるアプリケーションの進化は続くだろう。そうした中で、新しいアイデアを次々と試していくには、AI処理のスループットが現状では大幅に不足している。M5チップは、この課題に対して進んでいく方向を定めた“トレンドセッター”のような役割を持っている。

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M5チップを搭載したMacBook Pro(筆者撮影)

GPUにAI処理能力を追加しAI能力を強化

M5の最大の特徴は、あらゆる主要処理回路でAIを効率的に処理する、全方位のAI特化型設計思想にある。AIの推論処理はこれまでもCPU、GPU、そして専用のNeural Engineという3つの異なる処理ユニットで分担されていた。

CPUには推論処理を強化する命令があった。だが、GPUは高品位な演算はできるものの、推論処理を効率的に行う仕組みが導入されていなかった。

そこでM5では、GPUの各コアにAI推論処理用のアクセラレータを統合し、従来比4倍以上というAI処理性能の向上を実現している。3Dグラフィクスを処理する大規模な回路をAI向きにカスタマイズすることで、その膨大なリソースをAI強化に応用できる。

この設計変更は、単なる性能向上以上の意味を持つ。GPUコア内でAI処理が完結することで、データの移動に伴う遅延が劇的に減少し、より複雑なAIモデルをリアルタイムで動作させることが可能になった。

もう一つの重要な進化が、メモリ帯域幅の30%向上だ。AI処理では、大量のデータを高速に読み書きする必要がある。M5では最大153GB/秒という帯域幅を実現し、これまで以上に大規模なデータセットを扱えるようになった。さらに、ストレージの読み書き速度を従来の2倍に高速化した。

読み書き共におよそ6.5GB/秒という数値は圧倒的だが、AI時代には参照するモデルデータが巨大になることも多い。全方位的にAIを強化したことがうかがえる。

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