「1日で2歳分も老化する」腎機能を落とす超意外な敵→腎機能を低下させる悪循環スパイラル

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みなさん、「安静」がいかに怖ろしいものか、お分かりいただけたでしょうか。

少々言い方は悪いかもしれませんが、私は、腎臓が悪い人が長く安静を保つのは「寝たきり」や「人工透析」へ最速のスピードで行き着く直行便に乗せられたようなものだと思います。あるいは、最速で人生の終着駅に行き着く直行便と言ってもいいかもしれません。

だから、その終着駅に行きたくないのであれば、「安静ルート」から「適度な運動で筋肉量を維持していくルート」へと乗り換えるしかありません。

そして、その乗り換えで大きな役割を果たすことになるのが「腎臓リハビリ」。すなわち、私たちが提唱・確立した「腎臓リハビリ」のメソッドは、多くの慢性腎臓病の患者さんに「安静ルート」から「運動推奨ルート」への乗り換えを促してきたようなものなのです。適度な運動を行なうことによって腎臓寿命を延ばし、健康寿命を延ばしてよりすこやかな人生をまっとうしてもらえるよう、行先変更を働きかけてきたわけですね。

腎臓リハビリの運動療法「3つの柱」

では、腎臓リハビリではどのような運動をすすめているのか。ここでは紙幅の都合上あまりくわしく紹介できませんが、腎臓リハビリでは次の3つを運動療法の柱としています。

① 「腎臓ウォームアップ体操」(筋肉や関節をほぐして体を温める準備体操)
② 「らくらく筋トレ」(効率よく簡単に筋肉量をキープできるトレーニング)
③ 「腎活性ウォーキング」(血流を促進して腎臓の働きをよくする有酸素運動)

運動には腎臓の機能を維持・回復させる大きな力があります。これら3つの運動を組み合わせて行なうと、相乗効果が発揮されて効率よく腎臓の力を高めていくことができるのです。いずれも、運動が苦手な人でも問題なく継続していくことができるよう工夫を凝らしてあります。

腎臓は弱ってきてもほとんど症状が出ない「沈黙の臓器」ですので、いつの間にか機能低下してしまうことが少なくありません。少しでも腎臓の健康が気になるならば、早めに腎臓リハビリをスタートするほうがいいでしょう。

みなさんも、「安静」の怖さを知り、「運動」の力の大きさを知ったうえで、腎臓リハビリにトライするようにしてみてください。ぜひ、早めに「乗り換え」を済ませてしまい、運動の力を味方につけて末永く腎機能を守っていくようにしましょう。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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