「観光客が増えても、静かすぎても…」 品川駅から4分なのに"絶妙な静けさを持つ"街の正体 外国人が殺到、密かに人気を集める理由

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シーサイドフォレストの案内図
品川シーサイドフォレストの案内図(筆者撮影)

りんかい線の品川シーサイド駅がオープンしたのは2002年だ。駅は再開発地区の品川シーサイドフォレストに直結しており、すこぶる便利だ。

飲食は、ファストフードからちょっとしたレストランまで揃っているし、敷地内には大型のイオンも入っているので、日用のたいていのことはここで事足りる。近くにはタワーマンションの姿もちらほらあり、近代的な街の魅力は確かにある。

太鼓の音が”うるさい”

それでも、歩いてみて面白いのは旧街道沿いの商店街だ。今でも老舗の畳屋や食堂、自転車屋などがある。歴史的な背景のある地域なだけあって、古い建物も多く残っている。それを目当てにやってくる観光客も少なくない。

品川シーサイド駅を出て、北ふ頭橋の交差点を西に少し歩くと、旧東海道と交わる東海道南品川の交差点に行き着く。これをずっと北に向かって歩けば、JRの品川駅界隈に行き当たる。

「このあたりは2カ月に一度は何かしらのイベントをやっているんですよ。だからリピーター客もわりといるみたいだね」(前出の店主)

この日は「第三十二回 しながわ宿場まつり」が開催されていた。花魁道中も行われるとあって、海外からの観光客を含め、かなりの人出だった。青物横丁から旧東海道を品川駅に向かって歩くと、途中から品川宿場通り南会、北品川商店街へと続いている。それぞれの商店街が定期的に催しを開催するので、観光目的の人の目にはとまりやすい。

しかし、付近で行われる祭りに対する住民の思いも時代に応じて変わってきているという。

「祭りってお金がかかるでしょ。街がまだ多くの商店でにぎわっていたころは、祭りの運営のための奉納金も集まりやすかった。大口の奉納金は商店が中心だからね。それも年々減っているみたいだし、新しくできたマンションに越してくる人たちはそういうのには無関心なんですよ」

前出の店主はこう言って表情を曇らせて続ける。

「地域の祭りでは太鼓を乗せた神輿やなんかが出るんですよ。地元の小学生がこの太鼓を叩いてくれる。稽古が何カ月も前から始まるんだけど、その音がうるさいってクレームが入るんだ。そう言われてもねぇ。子どもたちは楽しみにしてるし。みんなして頭を悩ませてますよ(苦笑)」

新住民と旧住民の軋轢はここに限ったことではない。街の取材をしているとそこかしこで聞かれる問題で、どこも解決の道筋は見いだしていないのが現状のようだ。

第三十二回 しながわ宿場まつりの様子
「第三十二回 しながわ宿場まつり」で行われた花魁道中(筆者撮影)
第三十二回 しながわ宿場まつりのポスター
街に貼り出された「第三十二回 しながわ宿場まつり」のポスター(筆者撮影)
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