「結婚しないなんて親に申し訳なくないの」なども。中国で親の《催婚》が日本とは桁違いに"重い意味"を持つワケ。「結婚させたい親」の実態に迫る

「結婚しないなんて、これまで育ててきた私たちに申し訳ないと思わないの?」
「君が結婚しない限り、私は夜も眠れない」
中国では旧正月(春節)や国慶節などの大型連休になると、家族が集まり、未婚の若者は親や親戚から「結婚はまだ?」「恋人はいるの?」と矢継ぎ早に問い詰められる。
特にコロナ後、このような「催婚」(結婚を催促すること)は社会現象となっている。冒頭のせりふは、催婚の典型的なフレーズだ。
親の「早く結婚しなさい」という圧力は、単なる家庭内の衝突ではない。その背後には、変わりゆく社会構造と、自分の人生を自ら選び取ろうとする若者たちの新しい価値観のせめぎ合いがある。
「一番の悩みは、息子が恋愛も結婚もしないこと」
先日、中国・福建省の古い友人、毛さん(50代)から悩みを打ち明けられた。「今、人生で一番の悩みは、30代の息子が恋愛も結婚もしないことだ」と、ため息まじりに語る。
毛さんは十数年にわたり、貿易会社を経営し、経済的には安定している。息子のために新築マンションまで用意したという。それでも、肝心の息子は結婚にも恋愛にも関心を示さない。何度話しても答えは同じだった。
「今は恋愛にも結婚にも興味がない。仕事や趣味のほうがずっと面白い」と、息子はきっぱりと言う。話すたびに父子の溝は深まり、口論が絶えない。まるで「親子戦争」のようだ。
「子どもには子どもの人生がある。結婚するかどうかは本人の選択。『催婚』しても意味がないのでは?」――私はそう毛さんに問いかけた。
しかし、毛さんは「結婚は中国の伝統文化だ」と譲らない。「『不孝有三、無後為大(ふこうにさんあり、こうなきはだいなり)』という言葉がある。これは『孟子・離婁上』にある教えで、『親に対する不孝には三つあるが、その中でも子を持たないことが最も大きな不孝だ』」と主張する。
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