「結婚しないなんて親に申し訳なくないの」なども。中国で親の《催婚》が日本とは桁違いに"重い意味"を持つワケ。「結婚させたい親」の実態に迫る

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さらに毛さんは続けた。「親は子どもが家庭を築くのを支援すべきだ。後の世代のために尽くすという伝統は、何千年も受け継がれ、中国の繁栄を支えてきたのだ」と、まるで演説のように語った。

日中両国で異なる結婚観と親子関係――私は、心の底から思った。中国では、「結婚して一人前」という意識が根強い。親は子どもの結婚を自分の責任と考える傾向が強い。

一方、日本では「結婚は本人の自由」という価値観が浸透しており、親があからさまに結婚を催促することは主流ではない印象だ。未婚率は上昇しているものの、「独身でもいい」という社会的寛容さがあり、中国ほどの圧力はないだろう。

“親が決めた相手”と付き合うよう強要され…

結婚式の様子
豪華絢爛な中国のある結婚式の様子。色鮮やかな装飾品が新婦の美しさを際立てる(写真:取材協力者提供)

筆者の推し作家である余華はこう鋭く分析している。「中国式の『催婚』では、愛しているかどうかより、結婚すること自体が重要なのだ」と。

最近の中国メディアの報道によると、安徽省で29歳の女性が父親から結婚を催促され、「男はどれも大差ない」と言われ、「まあまあの人と結婚しろ」と勧められた。一部の親が子供のパートナーを選ぶ際の気持ちを完全に無視しているようだ。

もう一つの事例では、江蘇省の27歳の男性が、3年間で20回以上の見合いを経験した後、両親に指定された相手と付き合うよう強要された。ストレスからパニック障害を発症し、入院治療を受けたという。

近年では、ネット上に「催婚グループチャット」や「結婚相手探しアプリ」「親が代理登録する婚活サイト」なども登場。一部では公園で「相親(お見合い)コーナー」や「親の代理お見合い大会」といった新しい形も出現している。

親が子に結婚を急かすとき、そこには単なる心配以上のものが潜んでいるように思う。まるで、自分たちが精神的な拠り所を失いかけており、子の結婚によってその空白を埋め、自身の存在意義を取り戻そうとしているかのようだ。

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