「結婚しないなんて親に申し訳なくないの」なども。中国で親の《催婚》が日本とは桁違いに"重い意味"を持つワケ。「結婚させたい親」の実態に迫る

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人気キャラクター「ラブブ」が飾られている
ある結婚式では、中国発の人気キャラクター「ラブブ」が飾られていた(写真:取材協力者提供)

親への対抗策:レンタル彼女(彼氏)とペット縁談

若者たちは「催婚」に対して、さまざまな“対抗策”を取っている。その1つが「レンタル彼女(彼氏)」だ。中国ではこの行為を明確に禁じる法律はなく、通常は双方の合意による労務契約とみなされるため、違法ではない。

大型連休に帰省する若者にとって、親からの「催婚」は大きなプレッシャーだ。そのため、一時的に恋人役を演じてくれる相手をレンタルするケースもある。事前に「年齢・性格・学歴・職業・家族構成」などを設定し、親と対面時に細かい演出が行われるという。

レンタル料金は1時間あたり数十~数百元(約200円〜数千円)で、容姿や年齢によって異なる。アプリやSNSを通じて手軽に依頼できるが、詐欺や安全面でのリスクも指摘されている。

ある30代女性は「親を心配させたくないだけ」と語り、偽の「恋人」を連れて帰省することに罪悪感を抱きながらも、自分の自由を守ろうとしている。

「催婚」という親からの圧力に対し、若者たちは反抗しつつも無力感を覚える。「結婚のことで親と議論しても意味がない。親の最強の武器は、目の前で流す涙だから」という若者の声もある。

今、若者の間で新たな風潮が広がっている。それは「ペットに良縁を見つけること」だ。

人間のお見合いと同じように、ペット同士の「お見合い」でも「門当戸対(身分の釣り合い)」や「ルックスの相性」が重視される。中には結納金や嫁入り道具を用意し、本格的な結婚式まで挙げるケースもある。

こうした“ペット縁結びブーム”は、ペット婚活・結婚市場の拡大を後押ししている。需要の細分化に伴い、ペット結婚式のプランニング、写真・動画撮影、仲人や婚活仲介など、新たな産業も次第に注目を集めつつある。「ペット結婚」は2025年までに市場規模は20億元(約400億円)を突破すると予測されている。

一見、荒唐無稽な行動に思えるが、若者の“ストレス発散の手段”という側面もあるかもしれない。ペットの「結婚」を執り行うことは、「催婚」のプレッシャーを回避できるだけでなく、自身がペットを「子供」として育てる親らしい責任感を得られるのだろう。

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