「東京の家賃高騰に悲鳴!」住宅手当を増額しても従業員はなお不満 ベテランと若年層のバランスにも苦慮

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独身寮に住むのは、若年層の従業員です。社宅に住むのは、まだ自宅を購入していない比較的若い層です。近年、就活生が会社選びで独身寮・社宅の有無を重視するようになっています。つまり、家賃高騰対策は、主に若年層のためのものです。

近年、人事部門では、若年層対策の業務が激増しています。新卒採用活動は、以前は季節労働でしたが、通年化しています。インターンが長期化し、会社説明会などイベントの開催数も増えました。内定者のフォローも、昔はあまりなかった業務です。

しかも最近では、苦労して採用した新人が、短期間であっさり辞めてしまいます。新人を辞めさせないように、人事部門担当者は、新人フォローアップ研修を企画・実施し、バディ制度(新入社員に先輩社員が付いて面倒を見る制度)を設計・運営しなければいけません。

人事部門はすでに大忙し

新人・若手が辞めたら第二新卒など若手を中途採用しなければいけません。採用担当者は、一年中、採用面接をしています。その前に、エージェントとの付き合いも欠かせません。

このように人事部門担当者は、すでに若年層対策の業務に忙殺されており、そこに新たに家賃高騰対策の業務が加わるわけです。人事部門担当者がさらに疲弊する姿が目に浮かびます。

はたして、この人事部門担当者の苦境は、今後も続くのでしょうか。

カギを握るのは、ジョブ型雇用と生成AIの普及です。ジョブ型雇用は、ジョブ(職務)に空きが出たら採用する欠員採用が基本で、入社してすぐに活躍できる即戦力が求められます。生成AIが普及すれば、今は若年層が担っている単純業務が生成AIに置き換わります。つまり、ジョブ型雇用と生成AIの普及によって、若年層の重要性は劇的に低下するでしょう。

アメリカではすでにこうした状況になっています。アメリカではジョブ型雇用のため、もともと若年層の失業率が高めですが、最近IT大手が新人の採用を絞ったことから、「就職氷河期」が訪れています。従来は新人が担っていたプログラミングコードの作成などを生成AIに置き換えたためです。

ひるがえって日本では、ジョブ型雇用も生成AIも、まだ普及が始まったばかり。当面は新人・若年層が必要で、人事部門担当者は家賃対策に向き合わなければならない日が続くでしょう。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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