「いい加減にして!あなたなんて死ねばいいのに!」子に言い放った母の"まさかのその後"

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そこで私は、母親と彼女それぞれの気持ちを丁寧に聞きながら、どうすればいいかを一緒に考えました。やがて彼女は、母親の「気持ちを直接伝えたい」という願いを受け入れ、私の立ち合いのもと、向き合うことになりました。

面談の日。母親は涙ながらに、「あのときは本当にごめんね」と謝罪しました。彼女はその言葉をしっかりと受け止め、「本当に〝死ねばいいのに〟と思われてたわけじゃなかったんだ」と、ようやく確信を持つことができたそうです。

のちに、その日を境に2人の心の距離がぐっと近づいたと聞くことができました。

親の「余裕」が、子どもの心を守る力になる

どれほど優しい人であっても、心に余裕がなければ、トゲのある言葉で子どもを深く傷つけてしまうことがあります。そんな何気ない一言が、子どもの心に棘のように刺さることも少なくありません。だからこそ、親が心にゆとりを持つことは、子どもの心を守ることにもつながるのです。

たとえば、感情が高ぶったときには、子どもと物理的に少し距離を取ることも1つの方法です。いったんその場を離れ、ほかのことをする。別の部屋でお茶を飲む。私は気分を変えるために、買い物に出かけてしまうこともありました。

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たった数分でも、感情のピークをやりすごすための「間」ができるだけで、冷静さを取り戻せることがあります。

そしてもう1つ大切にしてほしいのは、「うまくできなくて当然」と自分に言ってあげることです。親だって人間です。いつも正しく、優しく、完璧でいようとすれば、かえって苦しくなってしまいます。

「ときどき失敗しても、あとでやり直せばいい」「少しずつ、親として育っていけばいい」と考えるだけで、気持ちに余白が生まれます。

感情に流されないようにするために、少しだけ立ち止まる。ひと呼吸おいて、思いを整える。それだけでも、親子の関係はより穏やかで温かいものになっていきます。

普川 くみ子 公認心理師・臨床心理士

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ふかわ くみこ / Kumiko Fukawa

1994年の学校導入期から第一線に立ち続けるSC。30年間で、小中高のべ30校・3万人以上の生徒・保護者・家族と向き合い続けてきた。不登校から自殺未遂まで、ケースを問わず救うカウンセリング手法により、担当する不登校児童の復学率は8割を超える。20年来共に生徒支援をしてきた学校改革のカリスマ・工藤勇一氏から「日本一のスクールカウンセラー」と絶大な信頼を得ている。

カウンセリング以外にも、親・教員・警察・医師・児童相談所等と連携した新しい生徒救済システム作りに携わるなど、いま学校教育界で最も注目されているSC。横浜創英のほか、岡田武史氏が学園長を務める愛媛・FC今治高等学校、教育界の風雲児・神野元基氏が校長を務める大分・東明館中高等学校のSCも務める。

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