JRと南海電鉄が並び立つ、和歌山ご当地鉄道事情 県都に「和歌山駅・和歌山市駅」の2大ターミナル

✎ 1〜 ✎ 83 ✎ 84 ✎ 85 ✎ 86
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

紀州鉄道はホテル・不動産業などを主たる事業としていて“箔つけ”のために鉄道を買収したもので、鉄道事業ではさして儲かっていないという。が、それでも御坊の町では紀勢本線の御坊駅と市中心部が離れているから、それらを結ぶ紀州鉄道の存在感はなかなかに大きいという。

かくのごとく、和歌山県内のJR線のほとんどは紀勢本線を語るだけで片付いてしまう。だが、もちろん県内にはほかにも鉄道路線が通っている。1つは「くろしお」や「紀州路快速」が走る阪和線、そして和歌山線だ。

阪和線はその名の通り大阪の天王寺駅と和歌山駅を結び、紀伊―和歌山間が和歌山県内。戦前、日本一速い「大阪―和歌山間ノンストップ45分」の電車を走らせた私鉄、阪和電気鉄道として開業した路線だ。

和歌山線は奈良県の王寺駅と和歌山駅を結んで走る。和歌山県内に入るのは大和二見―隅田間。以後、一貫して紀ノ川(奈良県内では吉野川)に沿って走る。ほぼ終日1時間に1本ペースという、平たく言えばローカル色の強い路線である。

難波と結ぶ南海の二枚看板

そんな和歌山線と途中の橋本駅で接続しているのが南海電気鉄道だ。1885年12月に大阪の難波と堺の間が開通。2025年で開業140年の現存する最古の私鉄だ。大阪側は難波をターミナルに、本線と高野線が二枚看板。どちらも大阪と和歌山両府県を結んでいる。

南海本線は難波―和歌山市駅間。途中、泉佐野駅では関西国際空港に向かう空港線を分けていて、実質的にはJR阪和線と競合関係になっている。

阪和線には特急「くろしお」が走り、南海本線には特急「サザン」。「くろしお」は乗るだけでも特急料金がかかるが、「サザン」は8両編成のうち4両の座席指定車以外は特別料金が不要の列車だ。

南海 特急「サザン」
和歌山平野をバックに和泉山脈を駆けのぼる南海電鉄の特急「サザン」。手前の難波方4両は運賃だけで乗れる自由席車両で、後ろに有料の指定席車両4両を連結(撮影:鼠入昌史)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事