さて、この和歌山県の看板特急たる「くろしお」。主たる役割の1つが南紀方面への観光輸送であることは論をまたない。多くの「くろしお」が終点としている白浜駅は、言うまでもなくリゾート地・白浜の玄関口だ。
白浜のアドベンチャーワールドからパンダはいなくなってしまったが、いまもパンダの顔をラッピングした「パンダくろしお」が活躍している。
ただし、それに加えてもう1つ「くろしお」には役割がある。有り体にいえば、大阪と和歌山の都市間連絡だ。早朝・深夜には新大阪―和歌山間の「くろしお」が走っていることからも、その役割の重要性がよくわかる。
山と海に挟まれた沿線の町
なお、「くろしお」が走っている紀勢本線、ほとんどの区間で山が海にそのまま落ちる、リアス海岸が続いている。裏を返せばほとんど広い平野部を持たない。
主な町はミカンで知られる有田、“醤油発祥の地”と言われる湯浅、二階俊博元自民党幹事長お膝元の御坊、世界遺産・熊野古道「中辺路(なかへち)」の田辺、本州最南端の串本、古式捕鯨が伝わる太地など。
紀勢本線から分かれる路線としては、かつて有田鉄道や野上電気鉄道といったローカル私鉄があったが、現在では御坊―西御坊間2.7kmを結ぶ紀州鉄道が残っているだけだ。

無料会員登録はこちら
ログインはこちら