JRと南海電鉄が並び立つ、和歌山ご当地鉄道事情 県都に「和歌山駅・和歌山市駅」の2大ターミナル

✎ 1〜 ✎ 83 ✎ 84 ✎ 85 ✎ 86
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そしてこの南海特急、だいぶ比重が小さくなったものの、大阪と和歌山だけでなく大阪と四国を結ぶ役割も担っている。和歌山市駅からさらに港に向かって延びる南海和歌山港線だ。和歌山港線の終点・和歌山港駅はその名の通り港直結。南海フェリーと連絡していて、紀伊水道を跨いで四国は徳島港までを結んでいる。

南海フェリーはルーツを辿ると徳島県側では小松島港を発着しており、今はなき国鉄のローカル線・小松島線とも接続していた。つまり、大阪と徳島を鉄道と船で結ぶ鉄道連絡船だったのだ。いまも和歌山港では南海和歌山港線と接続するダイヤとなっている。

個性豊かなローカル線

もう1つ、南海本線には和歌山県内での支線を持つ。紀ノ川―加太間の南海加太線だ。終点の加太駅周辺は昔ながらの港町。海産物にも恵まれ、加太線は「加太さかな線」の愛称を与えられて特別ラッピングの「めでたいでんしゃ」が走るなど観光路線化が進んでいる。

和歌山駅をターミナルに東に延びて“ねこ駅長”でおなじみ貴志駅までを結んでいるのが和歌山電鉄貴志川線。もともとは南海の路線だったが、2006年に貴志川線を引き継いだ。親会社は岡山市内に路面電車を走らせる、岡山電気軌道である。

和歌山電鉄
和歌山駅から延びる和歌山電鉄貴志川線は2006年まで南海電鉄が運営していた。写真の「うめ星電車」も元南海の車両(撮影:鼠入昌史)

南海本線と並んで大阪と和歌山を結ぶ南海高野線は、橋本駅で和歌山線と交差して、あとは路線名の通り高野山をめがけて山を登ってゆく。終点の極楽橋駅からさらにケーブルカーへと続いていて、高野山参詣のメインルートだ。

なお、途中にある九度山は、関ヶ原の戦い後に真田昌幸・信繁親子が流された地としてとみに名高い。大河ドラマ『真田丸』に合わせて“六文銭”などをデザインした「南海・真田赤備え列車」も走らせ、観光客でにぎわったという。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事