クラフトチョコの旗手、日本上陸計画の内幕

チョコ界のサードウェーブがやって来る!

チョコバーにはカカオの産地、収穫年、工場名、バッチ番号などを記載。それぞれにまったく味が違う。包み紙はオリジナルデザインで印を押したインド製のクラフトペーパー。1枚8〜10ドル

それどころか、バッチ番号(生産番号)の違いによる微妙な風味の変化も感じる事ができた。パッケージには生産番号と担当者のサインが印されていた。

ダンデライオンが作るチョコレートバーは、欧州のクリームや洋酒を積極的に用いたレシピではない。あくまでもカカオ豆の高い香りをいかに高い純度で届けるかにこだわり、カカオ豆を最良の状態で顧客に届けることで、より良い体験を追い求めることに価値を見いだしているのだ。

トッドは「僕たちはこれまでにない美味しいチョコレートを作りたいと考え、ネットでさまざまな情報を集めた。すると全米に同じように”お店では買えない”チョコレートを作りたい人達がいて、みんなで作り方や作るための機械、原材料などについて話をしていた。そうしたコミュニティに参加し、どんな作り方がベストなのかを徹底して追求したんだ」と話す。

彼らはチョコレート会社を設立した後、2年をかけてより良い原材料の調達と、生産に使う道具の改良を進めた。たとえばカカオ豆の焙煎に使う焙煎機、カカオ豆の薄皮を取りのぞきキレイにする装置など、カカオ豆の味を高い純度で提供するため、生産のプロセスと各プロセスに使う装置開発を進めたのだ。その上で、温度管理や材料の処理などをマニュアル化。カカオの味を極限まで追求する手法を「技術開発」の視点から徹底的に調べ上げ、独自に改良した装置を開発していったのだ。

科学的なアプローチを導入

「もっと高い純度の、もっとカカオ豆の風味を楽しめるチョコレートを作るには、何をどう改良すればいいのか。これまで、科学的なアプローチでは考えてこられなかったのだと思う」とトッドは話す。 実にシリコンバレーらしいアプローチと考えるかもしれないが、それもそのはず。彼は、スタンフォード大学で情報科学を学ぶ学生だったのだ。 在学中、ダンデライオンでもパートナーとなっているキャメロン・リングとともに、名刺情報のネットを通じた交換と集中管理を実現するPlaxoというサービスを創業。その後、彼らはPlaxoをケーブルテレビ、ネットワークサービス大手のコムキャストに売却。しばしの休養後、次に自分たちが取り組むテーマとして見つけたのがチョコレート作りだった。 当初はどうすればチョコレートを作れるのか。そもそも自分たちの家でチョコレートを作れるのか。

何も判らなかったが、米国内でもBean to Barが盛り上がる中、ひとつひとつ生産プロセスの純度を高め、道具を改良し、製法を改良し、温度管理のアプローチも探りながら、どのような作り方が、もっともカカオの美味しさを引き出せるかを追求する仲間は、ネット上に多数存在した。彼らはBean to barを実践する仲間と情報を交換することで急速に知識を蓄積し、理想のチョコレートバー作りにいよいよ没頭していった。

現在でもトッドは、こうしたオープンなBean to Barコミュニティとの関係を強く保っており、ダンデライオンで開発したプロセスや装置の情報はもちろん、仕入れているカカオ豆の情報や、その生産農家までをも公開。コミュニティにフィードバックしているという。「このムーブメントがもっと大きくなっていけばいい」とトッドは言うが、情報を公開したとしても、商品価値すべては盗まれないという自信の表れなのだろう。

次ページ見た目こそ普通のチョコレートバーだが・・・
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