クラフトチョコの旗手、日本上陸計画の内幕 チョコ界のサードウェーブがやって来る!

シリコンバレーへの取材時、サンフランシスコ・バレンシア通り沿いミッション地区にあるダンデライオンのファクトリーカフェへ訪問することを勧められた筆者は、なんの予備知識もなく訪れた店内の活気に驚かされた。
”今、サンフランシスコでもっともトレンディなお土産”と紹介され、チョコレートバーを買いにいくつもりが、すっかりダンデライオンというブランド、店舗、そしてチョコレートそのものへの興味に変化していた。
なぜなら、そのタイムレスで心地よい空間演出、雰囲気以上に、注文したチョコレートドリンクの香り、風合い、味、すべてが予想を超えて素晴らしいものだったからだ。その鮮烈さは印象深く、帰国してから食べた数種類のチョコレートバーも新鮮な驚きを憶えるだけの価値を湛えたものだった。ここ数年、さまざまな都市で流行するクラフトチョコレートをギフトとして入手していた筆者も、その風味の強さ、美味しさに圧倒されてしまった。
3日練り続けて生まれる独特のチョコレート
店舗に訪れていた共同創業者のひとり、トッド・マソニスを見つけると早速インタビューの許可をお願いした。普段、ほとんどチョコレートを食べなかった筆者だが、トレンドの確認もあって、ニューヨーク、シアトル、シカゴなどのBean to Barチョコレートを試したことがあった。

前述のTCHOももちろん食べたことがある。いずれも確かに美味ではあるが、実はあまり強い印象は残っていない。ストーリー性はあるものの、ここまで品質に対する鮮烈な差違は感じなかったからだ。
しかし、ダンデライオンの記憶は鮮烈だ。彼らのチョコレートバーは、いずれもシングルオリジン…すなわち単一産地のカカオ豆と天然のケインシュガーのみで作られる。焙煎したカカオ豆の粉にケインシュガーを混ぜ、三日三晩練り続けることで生み出されるチョコレートは、カカオ豆が生まれた土地や気候を反映して驚くほど多彩な味を愉しませてくれるのだ。そのバリエーションの広さは、コーヒー豆産地による味の違いよりも大きい。
少量生産かつ現地での人気が高いため、オンラインショップで閲覧できるチョコレートバーの種類は少ない。しかし、ファクトリーカフェ店内には多種多様な産地のチョコレートバーが並び、食べ比べることが可能だ。
あるものはフルーティなふくよかさを持ち、あるものは泥臭さのなかに深みがあり、別のものには爽やかな酸味を感じる。それぞれにコーヒーはもちろん、ラム酒、赤ワイン、デザートワインなど、組み合わせたい飲み物が思い浮かんでくる。
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