《元キーエンスNO.1営業マン》が明かす「部下を自発的に動かす方法」。"KPI"に基づいた指導が何よりも大切だ

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「売り上げが悪い」という漠然とした問題を議論するのではなく、「アポイント獲得率が低い」という具体的な課題を議論することで、「何をすべきか」という生産的な話し合いができます。

根性論からの脱却:不動産会社の教訓

ここで、対極的な例として、私が見たことがある不動産販売会社の事例をお伝えします。これは、KPIベースのマネジメントとは正反対のアプローチでした。

ひたすらKPI
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木曜日の朝8時、大会議室に40人以上の店長とエリアマネジャーが集まります。

司会が「それでは、各店舗の決意表明を!」と声を張り上げると、1人目の店長が立ち上がります。「渋谷店、今月3棟不足です! 気合いで必ず達成します!」。続いて「新宿店、5棟不足です! 死ぬ気で頑張ります!」「池袋店、目標達成まであと2棟! 絶対にやり遂げます!」。

これが40人分続き、最後は全員で「オー!!」と雄叫びを上げるのです。

この光景に、私はキーエンスと真逆な印象を受けました。このような根性論ベースのマネジメントでは、何をすればいいかわからず、売り上げは上がりません。

精神力には限界があり、燃え尽き症候群のリスクも高まります。なぜうまくいったのか、なぜ失敗したのかがわからないため、改善のサイクルも回りません。

結果として、自分で考える力が育たず、指示待ち人間になり、優秀な人材は辞めます。実際、この企業の離職率は非常に高いと聞いています。

これは、根性論ベースのマネジメントの必然的な結果と言えるでしょう。

一方、KPIを徹底している企業のミーティングは全く違います。

マネジャーが「先週の活動を振り返ろう。まず、チーム全体のKPIを確認する」と始めると、プロジェクターに詳細なデータが表示されます。

「商談化率が先週比で5ポイント下がっている。Kさん、君のチームは逆に3ポイント上がっているね。何か工夫したことは?」と問いかけると、Kさんが「事前の企業分析を強化しました。具体的には……」と成功要因を共有します。

マネジャーは「なるほど。それは他のチームでも展開できそうだ。来週から全体で実施してみよう」と、全体のレベルアップにつなげます。

岩田 圭弘 Exgrowth株式会社 代表取締役

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いわた よしひろ / Yoshihiro Iwata

慶應義塾大学経済学部卒業、2009年キーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位。2012年下期から3期連続で事業部営業ランキング1位を獲得し、マネジャーに就任。その後、本社販売促進グループで営業戦略立案・販売促進業務を担当。

2015年三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界、新規事業の戦略策定に従事。2016年キーエンスに戻り新規事業の立ち上げに携わる。2020年アスエネに参画。

2025年Exgrowth株式会社創業。スタートアップのグロース支援に係るアドバイザリーを提供。

著書『仕組み化がすべて』『数値化の魔力』『入社1年目の戦略』

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