「保守王国」の茨城県で崩れた自民党の基盤、総裁選へ揺れる党員の思いとは?

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飲食店が並ぶ泉町仲通り(茨城県水戸市)Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

新たに選出される総裁は、直ちに財政支出や税制を巡る判断を迫られることになる。これまで野党側は消費税率の引き下げを求めてきたが、財政懸念から金利上昇を招く恐れもある。現状、各党で隔たりがある経済政策を収れんさせるのも新政権の重要な課題だ。各社の情勢調査では、立候補者5人のうち小泉進次郎農相(44)、高市早苗前経済安全保障担当相(64)、林芳正官房長官(64)が有力視されている。

昨年の総裁選で、茨城の党員票を最も多く獲得したのは石破氏だった。県内の「石破票」が今回どう動くかは読み切れない面がある。

参政党の躍進

7月の参院選で与党が敗北した背景には、保守層を取り込んだ結党わずか5年の参政党の躍進がある。「日本人ファースト」「これ以上、日本を壊すな!」といったスローガンは、特に地方の保守層の間で共感を呼んだ。水戸市議の須田氏が有権者に自民党への支持を訴えても、今回は参政党に投票したと言われる場面があったという。

JR水戸駅からほど近い場所で飲食店を営む小谷律子さん(78)は「自民党は一回つぶれた方がいい」と厳しい。店先には参政党のポスターが貼られている。

「日本人ファースト」を訴える参政党のポスター(茨城県水戸市、9月)Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg
水戸市議会議員の須田浩和氏Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

冒頭の塚本さんは、兼業農家としてコメ作りを続けながら、地元のJA(農業協同組合)職員として働き、農業の深刻な人手不足に対応するため中国から労働者を受け入れる取り組みを支援してきた。外国人労働者がいなければ立ち行かなくなる現状がある中で、「外国人問題」を争点に支持を拡大してきた参政党の影響力を懸念する。

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