ABCニュースはテレビ局のこだわりを捨てた 踏み込んだYouTube戦略を実行

ABCニュースデジタルには、かつてYouTubeで役員を務めたテリー・ハールバット氏が率いる視聴者開拓チームがいる。スミス氏によると、パブリッシング業務のすべてはハールバット氏が統括し、ソーシャル部隊、自社系サイトの部隊やSEO部隊など、さまざまな専門部隊を監督している。

「われわれが目指していることは、すべての配信の決断を1つのチームが担当することだ。編集部からコンテンツをもらい、そのコンテンツを正しいタイミングで正しいユーザーへ届けるのだ」と、スミス氏は語る。

デジタルプラットフォーム用の動画を強化

先を見据えるABCニュースは、デジタルプラットフォーム用の動画を強化しようとしている。目標は過去の12カ月間で作成したコンテンツの数を、次の12カ月間で50%増やすことだ。これがABCニュースが、ダン・シルバー氏を雇った1つの理由である。シルバー氏はスポーツ専門テレビ局ESPNでエミー賞を受賞したドキュメンタリー番組「30 for 30」を製作した、エグセクティブ・プロデューサーだ。

「われわれの時間は限られている」と、スミス氏は語る。「いま本気で投資しているのは、（デジタル版用の動画を製作する）デジタルオリジナルコンテンツ部隊だ」。今後はテレビ用に製作した動画にこだわらないということだ。

Sahil Patel（原文 / 訳：小嶋太一郎）
photo by Thinkstock / Getty Images
 

DIGIDAY［日本版］の関連記事
アメリカの「テレビ業界」に激震が走った、2015年夏 〜業界の寿命を真剣に考えてみた
デジタルは、結局「テレビ業界」を殺さない。その生き残る理由を示す、5つのグラフ
Netflixの「データ活用術」。動画プロバイダーは、いかに生き残るべきか？