神戸電鉄の名車「往時の姿」取り戻したファンの愛 有志によるクラファンで「デ101号車」を復元

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お役御免となったデ101号車は、本来であれば解体される運命にあったが、保存を求める声が社内外から多く寄せられた。「デ101まもり隊」を立ち上げ、事務局代表を担当する米倉裕一郎さんもその一人。福岡県の出身だが、デ101号車が引退した年に神鉄の沿線へと移り住み、その魅力に取りつかれたという。

「デ101号車が実際に乗客を乗せていた頃は知らないのですが、生まれた頃からの鉄道好きということもあり、車庫にいる姿を見るうちに『この貴重な車両をなんとか後世に残してもらいたい』と思うようになりました」(米倉さん)

米倉さんは有志とともに2017年夏から活動を開始。車両の所有者である神鉄と意見交換を重ね、保存への道筋を探った。米倉さんらの活動は神鉄にとってもありがたい話だったと、神戸電鉄経営企画部の森本和志さんは語る。

「当社としても、創業期を知る貴重な存在であり、引退後もこうして皆様に慕われているデ101号車を何とかしたいという思いは持っていました。ただ、費用面を含めて課題が多く、なかなか前へ進めることができませんでした。ファンの方々からお申し出を頂いたことで、我々もこの車両の価値を再認識できましたし、将来の姿を一緒に描けたのは車両にとってもよかったのだと思っています」(森本さん)

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有志がクラファンで資金調達

米倉さんらは2018年10月に「まもり隊」を立ち上げ、翌年秋にクラウドファンディング(CF)を実施。集まった資金は諸費用を除いて全額が神鉄に寄付され、これを元に傷みがひどかった外板などの補修が行われた。2021年春に作業は完了。デ101号車はきれいに塗り直され、再びファンの前に姿を現した。

「ただ、デ101号車は補修工事によってオリジナルの姿ではなくなっていました。末永く保存していただくためにも、やはり製造当初のスタイルに戻したい。そこで、窓や扉をできる限り元の形に復元するべく、2度目のCFに挑戦することを決めました」(米倉さん)

神戸電鉄 101号車
きれいに復元された側面。窓下にはリベットが再現されている(撮影:伊原薫)
【写真をもっと見る】車内に入ると復元された部分と未施工の部分が一目瞭然だった
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