神戸電鉄の名車「往時の姿」取り戻したファンの愛 有志によるクラファンで「デ101号車」を復元
デ101形は台車を除いてデ1形とほぼ同一構造とされた。車体は半鋼製で、外板には鋼板を留めるリベットがずらりと並ぶ。神鉄は日本有数の急勾配路線であることから、自動車のエンジンブレーキに似た抑速ブレーキを装備するなど、万全の対策がとられた。
デ1形とデ101形は、戦後の1948年にデ201形が登場するまで神鉄の主力として活躍。1960年代にはデ1形とデニ11形の全車、そしてデ101形のうち2両が800系として生まれ変わる一方、残ったデ101形は原形のまま活躍を続けた。
1両だけ残った「デ101形」
その後、デ101形は1971年に廃車され、1両を除いて解体された。トップナンバーのデ101号車だけは解体を免れ、鈴蘭台車庫で車両の入れ換え作業に使用する“機械”として活用。1980年代後半に車体の補修工事が実施され、雨水侵入対策として窓や扉の埋め込みや固定化が行われたものの、車体そのものは製造時のままとされた。
デ101号車の“入れ換え用機械”としての活躍は21世紀になっても続き、いつしか神鉄開業時を知る唯一の存在として、鉄道ファンだけでなく社員からも注目される車両となった。
だが、さすがに寄る年波には勝てず、2016年に引退。後を受け継いだ入れ換え用機械は、外観がデ101号車に似せたデザインとされており、神鉄のデ101号車に対する思い入れが伝わってくる。

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