1日約3万5000回も決断「人間」の知られざる能力 AIにはできない選択という行為 脳科学者・茂木健一郎さんが語る"AIの今"

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AIにはできない「選択という行為」と、自分が没頭できる選択をすることの大切さについて解説します(写真:designer491/PIXTA)
AI時代をどう生きるか──。
多くの人が多くの場所で議論を繰り広げているテーマです。AIと脳科学の最先端研究に接する脳科学者の茂木健一郎さんは、「AI時代には、AIには不可能で私たち人間が得意とする能力も高めていく必要がある」と言います。茂木さんが提唱するのは次の3つの能力です。
「1. 選択力、2.コミュニケーション力、3.創造性」
本稿では、『AIで覚醒する脳』を一部抜粋し再構成のうえ、「選択力」の重要性、とくにAIがますます発展していくこれからの時代において、“何かを選ぶ”ことの重要性についてお届けします。
※肩書きなどは書籍執筆時点
1回目:『あなたの脳がどんどん"退化"AIのダメな使い方』

1日で平均3万5000回以上も“選択”をしている

選択力①──AIにはできない選択という行為

「AIによって、むしろ人間の能力が開花する時代」

実は、AIを理解している人ほどこうした考え方が主流になっています。

AI時代の本質として、人間にしかできないことは何かということを見極める必要性が高まっているわけですが、AIには不可能で人間が得意とする能力として真っ先に挙げられるのが「選択力」「コミュニケーション力」「創造性」の3つです。

まずは、「選択力」から考えていきましょう。

ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、私たち人間は1日におよそ3万5000回、何かしらを選択し、決断していると考えられています。

言語、食事、交通といった事柄だけでも1日で平均2万回以上も選択をしており、これに歩く、座るといった身体的動作についての選択、さらに仕事中や家に帰宅してから行なっている選択まで含めると、およそ3万5000回に及ぶそうです。

実はこうした選択という行為はAIにはできません。

「何が自分にとって幸せなのか」という選択に迫られたとき、私たち人間だけが持っている価値観が大きく左右します。いくらAIに相談したところで、自分にとって何が幸せなのかを見極めることはできません。

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