1日約3万5000回も決断「人間」の知られざる能力 AIにはできない選択という行為 脳科学者・茂木健一郎さんが語る"AIの今"
では、そう考える根拠をお話ししましょう。
グライムス。カナダのバンクーバー出身のミュージシャンで、2012年にリリースした3枚目のアルバム『Visions』によって一躍ブレイク。その3年後に出された4枚目のアルバム『ArtAngels』が世界各国で大ヒットして、シンガーとしての地位を確立しました。
グライムスは、Garage Bandのような音楽ソフトで音をいじって遊びながら録音するのが好きだったといいます。
高いお金をかけてスタジオを借りたり、バンドのメンバーを集めることでストレスを溜め込むよりも、自分のペースで思う存分音楽づくりができるのが彼女にとっては何よりも重要だったのです。
グライムスにある大物起業家が目をつけた
そんなグライムスに、ある転機が訪れます。かねてAIに興味があったグライムスにある大物起業家が目をつけました。イーロン・マスクです。
AIについての思考実験「ローコのバジリスク」(注)をもじったジョークを思いついたイーロン・マスクが、それ以前に同じジョークをTwitter(当時)に上げていたグライムスを発見し、「自分と同じ感性を持っている」と感動して即座にグライムスにコンタクトを取ったといいます。
ツイッター上でのやりとりをきっかけに意気投合し、交際に発展して2人は3人の子どもをもうけました。
グライムスの人生は、まさに自分が没頭できる選択をすることで思いもよらない未来が待っているということの好例であり、先に述べたGarage Bandで曲を作ったことがある3人の子どもたちにも共通する脳の使い方だと考えられるのです。
とりあえずいい大学を出ていい会社に就職する。そういった選択の中では、こうしたグライムスのようなストーリーは一生手に入れることはできないでしょう。
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