【産業天気図・商社】07年度も高水準続き「晴れ」。資源・エネルギー価格高持続で利益増額期待も

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「今、トップ同士で会うと、こんな状態は何時までも続かないと言い合うんですよ。けど、大きく崩れる要素が見あたらないんだよね」と某大手商社の会長は言う。その言葉通り、総合商社にとって07年度も良好な環境が続きそうだ。
 06年度に過去最高益を更新した大手商社6社は、07年度は資源・エネルギー価格が反落することを前提にしている。例えば、原油価格なら06年度実績が1バレル60~65ドルだったのに対し、07年度の前提は55~58ドルといったぐあいだ。
 各社とも資源・エネルギー関連の利益は減少すると見ているが、世界的な景気拡大、旺盛な投資意欲により、非資源・非エネルギーが利益を伸ばすため、三菱商事<8058.東証>以外は07年度も最終増益(純益ベース)を予想している。
 最大手の三菱商事のみが減益予想なのは、稼ぎ頭の石炭事業の販売価格(年間契約で07年度は決着済み)が低下すること、前期あったダイヤモンドシティ株等の売却益がなくなることによる。それでも利益水準は超高水準。石炭以外の資源・エネルギー次第では最終的には増益となる可能性も残されている。
 2位の三井物産<8031.東証>は資源・エネルギー依存度が高いが、既存権益の一部を入れ替えており、それに伴う売却益もあって増益。資源・エネルギー依存度が大手のなかで最も低い3位の住友商事<8053.東証>は、リース事業の見なし売却益等もあり増益。4位の伊藤忠商事<8001.東証>の増益幅は大きいが、06年度に持ち分会社のオリエントコーポレーション<8585.東証>関連損失が410億円(純益ベース)あったのが消えることに加えて、オリコの株式併合に関連して見なしの利益が約300億円(純益ベース)で計上されるためで、実体的には高水準維持といった程度だろう。5位の丸紅<8002.東証>は海外での電力事業など、6位の双日<2768.東証>は自動車などがそれぞれ牽引し増益を予想している。
 資源・エネルギー事業についても、足元の商品価格は堅調だ。原油価格は65ドル前後と各社の前提よりも高値で推移している。同様に為替も1ドル110円~115円の前提に対して120円超の円安基調である。こうした状態が続けば、各社ともに期初予想からの上振れが期待できそうだ。
 総合商社の事業は多岐にわたるため、リスク要因も幅広い。世界経済の急速な悪化があればもちろん影響を受ける。また、金利上昇による資金調達コスト増もプラスではない。資源・エネルギー価格の急落も心配材料ではあるが、一時的にはともかく、中期で大きく下げることは考えにくい。
 当面、高水準の利益が続く可能性は高いが、大きく利益を伸ばすには、現在の非資源・非エネルギー分野の収益力ではやや力不足。結局のところ、資源・エネルギー頼みという面は否めない。一方、資源・エネルギー関連での新規投資案件が高額となっている。投資に見合う収益率の確保が中長期での課題だろう。
【山田雄大記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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