移民やビザ巡るトランプ大統領の「二枚舌」がアメリカ経済に大きな打撃を与えている

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

歓迎と融和のメッセージを発信

パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、トランプ氏による移民制限と景気の減速を直接結び付けた。雇用が低迷した理由を問われたパウエル氏は「主に移民の変化によるものだ。労働供給の伸びはほとんど、あるいは全くない」と答えた。米議会予算局(CBO)は、2029年までに29万人の移民が国外退去となり、労働力人口が縮小し、国内総生産(GDP)成長に影響を及ぼすと試算している。

トランプ氏が取れる現実的な手段はいくつかある。まずは、これまで一貫して避けてきた議会との交渉に踏み出し、米国が必要とする移民の合法的な受け入れの枠組みを整備することだ。また、4月の閣議で言及したように、国土安全保障省に指示を出し、一時的な就労ビザを拡充・改善させることも可能だろう。移民論議を過激化させてきたスティーブン・ミラー大統領次席補佐官ら、政権内の強硬派の声を抑えることも選択肢となろう。

先週、トランプ氏は新たに市民権を取得した人々に向け、異例ともいえる歓迎と融和のメッセージを発した。「米国との神聖な絆を築いた」と称賛し、「我々の歴史はいまやあなた方の歴史だ」と強調。さらに、合衆国憲法は「あなた方が守り、尊び、敬うべきものだ」と呼びかけた。

立派で心を打つ言葉だ。しかし、具体的な行動と明確な方針を伴わなければ意味がない。移民はこれまでも、そして今も米国の生命線である。この国へ入るための合法的で尊厳ある手段を彼らに与え、企業には自社の労働者が正当に滞在できるという安心を与えるべきだ。

(パトリシア・ロペス氏はブルームバーグ・オピニオンの政治・政策担当コラムニストです。ミネアポリス・スター・トリビューン紙でシニア政治エディター・記者として働き、編集委員も務めました。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

著者:コラムニスト:Patricia Lopez

ブルームバーグ
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事