ホップを大量に使ったIPAから軽快ピルスナーへ、よみがえるラガービール

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さらには北ドイツにも波及し、一般にイメージされるようなドイツスタイルのピルスナーへと発展していった。こうしたビールはドイツ産のホップを使い、ラガーとしては力強い苦みを持ちながら、ほんのりとしたモルトの甘みを残していた。

19世紀になると、ドイツ移民がピルスナーを米国に持ち込み、国産の大麦麦芽に加え米やトウモロコシなども使ったアメリカンスタイルのピルスナーが造られる。苦みやホップの個性は抑えられ、全体的にマイルドな味わいに仕上がった。

第4のスタイル

今日味わえるクラフトピルスナーの多くはチェコ、ドイツ、米国いずれかのスタイルを踏襲している。ただ米国の消費者、醸造家双方をとりこにしている第4のスタイルもある。イタリアンピルスナーだ。

イタリアンピルスナーは古い世界の流れをくんだものではない。まさに現代のクラフトビールと言える。1990年代後半、イタリアのブリュワリー、ビリフィーチョ・イタリアーノで醸造されたのが始まりだ。醸造家アゴスティーノ・アリオリ氏が、ドイツのピルスナーをベースに、発酵中や発酵後にアロマホップを加える「ドライホッピング」を施した。

これは今日のIPAで一般的な手法であり、苦みを強調し過ぎずにホップの香りと風味を引き出すことができる。その産物が、シトラスやフローラルの香りを帯びた軽快なビール。ピルスナーモルトをベースに、IPAのような風味を持つ爽快で飲みやすいラガーが生まれた。

ティアニー氏らによれば、ピルスナーが復活した理由はさまざまだという。アルコールを抑えた飲みやすいビールへの需要や、強い味に対する飽きなどが影響した。ヘイジーIPAやサワービールの流行後、消費者は甘さにやや食傷気味で、苦めの味に回帰する傾向も最近見られる。

ティアニー氏は、ピルスナーの流行はしばらく続くとみている。「クラフトビールに親しむ人々が増えるにつれ、味覚が鍛えられてきた。バランスやクリーンな味わい、飲みやすさ、そして優れたクラフトビールを造る技術を評価するようになってきた」と語った。

著者:Tony Rehagen

ブルームバーグ
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