【キーマンズ・インタビュー】人事制度は白けさせるのではなく、流行らせないと意味がない--曽山哲人・サイバーエージェント取締役人事本部長に聞く
06年に原型がスタートし、その後に年に1回くらいのペースで開催している。役員ごとに経営幹部数名とチームを組んで、コンテストの結果順位を公表する。社長の藤田は審査員になる。バトルには「CA8」で交代した旧役員も参加できる。役員はもちろん誰もが1位を目指すし、同時に「最下位にだけはなりたくない」という心理も働く。年齢も全員が30代なので真剣勝負だ。
1人の役員が4人くらいをチームに入れることができ、チームに入れるメンバーのドラフト会議をやる。その人選で戦力が決まるから一生懸命だ。チーム作りからバトルは始まっている。そして役員1人とチームに入った4人の計5人、10チームで2カ月くらいかけて打ち合わせを重ね、事業企画を練っていく。
前回の「あした会議」では30案が提案されて、20案が採用された。そして2カ月後には4つの会社ができており、すでに活動を開始しているというスピード感だ。こんなに速く事業を立ち上げられる理由は、「あした会議」の段階で予算計画、人員計画、経営計画がそろっているからだ。
--曽山さんは月に100名の社員と話していると聞きました。そんなに多くの人と話せるものですか
個別の面談を週に5名ほどと、毎週2回はランチや飲み会をセットしている。1回5名として週4回だから20名と面談の5名を加える25名と会える。4週で100名と会っている計算になる。サイバーエージェントの社員は約1200名だから、1年間で全社員に相当する数の声を聞くことができる。これは私だけが実行しているわけではなく、役員全員が社員と会っている。
「困っていることはないか」「組織風土はどうか」を質問する。質問を通じて知りたいのは、現場の「白け」だ。人事は「白け」に敏感でなくてはならない。
--質問力は重要ですね。曽山さんはいつ頃から意識されましたか。
営業局長だった02年の時だ。当時の私は「何でできないの?」と詰問するタイプのマネージャーだった。ある時、人事からコーチングの研修に参加してみないかと声をかけられた。コーチングには興味があったので参加したところ、これが私の人生のスイッチになった。