「仕事を終わらせずに帰るなんて責任感がない」という声もあるが…「残業キャンセル界隈」を肯定する会社が"残業ゼロ"に舵を切った結果

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(写真: foly/PIXTA)
SNSで、若い世代を中心に発信され話題の「残業キャンセル界隈」。定時になると残業をせずに帰宅するたちを指すとされ、自虐的なニュアンスを含みつつ、同じ価値観を持つ人たちとの連帯感を示す言葉として使われています。
これに対し、「残業が前提の働き方がおかしい」「仕事を終わらせずに帰るなんて責任感がない」など、賛否さまざまな意見が飛び交っていますが、「企業は残業ゼロに舵を切る方がうまくいく」というのが、株式会社みらいパートナーズの菊池正則社長。
同社は2021年より全社残業ゼロを実施した結果、就活生の応募数が前年比165%増、売り上げも126%成長。なぜ残業ゼロが成果につながるのか。菊池社長の著書『残業ゼロのすごい仕組み』から紹介します。

就活生のニーズは「残業ゼロ」

みらいパートナーズ、そしてロジックスサービスは、もともと残業の多い会社でした。私たちが手掛ける物流やBPOサービスは労働集約型ビジネスであり、社員に長く働いてもらったほうが売り上げは上がります。また、かつては社員のほうも残業代目当てで進んで残業していました。労使の思惑が合致して、残業が月40時間程度に達していました。

しかし、2010年代に入るとワークライフバランスを重視する風潮が強まり、社会の空気が徐々に変わってきました。決定的だったのは、某大手広告代理店で起きた過労死事件。あれ以降、「長時間労働は悪」という常識が世間に定着しました。

就活学生が企業に求めるものも変わりました。かつては、「少しでも初任給がいいところに勤めたい」「中小企業でも将来性があって安定している会社がいい」というように、経済的に豊かになれるかどうか、将来も経済的に不安なく暮らせるかどうかが関心事でした。

しかし今は違います。

「お給料はそこそこでいいから、ハードじゃない職場がいい」
「残業が少なくて、休みも取りやすい会社がいい会社だ」
「基本がリモートワークで、満員電車に乗らなくて済む会社がいい」

このように自分に合った働き方ができるかどうかに焦点が移っているのです。

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