26年廃線?地元が困惑する「富山地鉄」の経営問題 広がる反発、鉄路を存続するために必要なのは何か

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全国では2000年頃から私鉄不採算路線の存続問題が顕在化し、近在では長野電鉄、のと鉄道などが廃線を推し進めた。一方、事業者と自治体が法定協議会を開き、鉄道事業再構築実施計画を練り、存続につなげたケースもある。数十億円の税金投入が必要なので、関係者間の合意形成には時間がかかる。北陸鉄道だと、コロナ下の2021年から自治体と協議を始め、みなし上下分離方式での事業継続が実施されたのは2025年のこと。近江鉄道の場合、滋賀県に協議を申し入れて上下分離まで8年かかった。

しかし、富山地鉄は自力での経営にこだわり、コスト削減に努める。

北陸新幹線開業で利用者数は回復するが

実は、2010年頃から、富山地鉄の利用者数は回復していた。2015年3月の北陸新幹線開業がポイントである。

特に軌道線の輸送旅客人員は2005年度366万人/年、2010年度402万人/年、2018年度533万人/年と約5割増となった。富山環状線の開業、富山駅電停の新設などの施策もあって、利用が順調に増えた。2020年の富山ライトレール(富山港線)の合併でさらなる利用増が期待されていた。

地鉄本線の輸送旅客人員も2010年度435万人/年、2015年度494万人/年、2017年度501万人/年、2018年度465万人/年と底を打った感もあった。

電鉄富山駅の2018年度の1日あたりの乗降客数は7699人と2010年度比18%増となる。定期外客が同33%増、定期客も同10%増で東新庄駅など富山市近郊の各駅の利用も増えた。また、2019年度の本線上市―宇奈月温泉間の主要駅の乗降人員数を見ると、2014年度比で約1割増えた。宇奈月温泉駅の2018年度の乗降客数が1日あたり880人(2010年度589人)、立山駅が同620人(同299人)など、インバウンドも含めた個人観光客の需要が伸びたことが背景にあると思われる。

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