「天一でラーメンを食べよう→1センチのゴキブリ死骸入りが提供」 天下一品「ゴキブリ混入」も"擁護の声"が少なくないワケ
では、どうして「天一」には、温かな声が寄せられているのか。その要因は大きく、(1)他社で替えが利くか、(2)FC店舗での不祥事ゆえに本部責任が少ない、(3)拡散の“発信地”が当事者でなかったこと、の3つあると考えている。
まずは「他社で替えが利くか」である。すき家を例に挙げると、同様の牛丼チェーン店は、複数ある。店舗展開においても、いずれも全国規模のため、極端な話を言えば「すき家でなくても代替できる」と考える人は少なくないだろう。
しかしながら、天下一品は唯一無二の存在だ。
前もって言っておくと、筆者も天下一品の「こってりラーメン」が大好きだ。京都にある総本店も訪れたことがあるほど「それなりのファン」であり、原稿を書いている今すぐにでも、残ったスープにごはんを入れて、雑炊のようにして食べたい。それくらい、他社の商品では替えが利かない存在だ。
ラーメンは中毒性があると言われているが、それでもここまでの支持層を抱えるのは、天下一品か二郎(系)か……と思えるほど。よく「天一と二郎はラーメンではない」といった評価もあるが、まさにその通りで、まったく別ジャンルの料理として扱われている。
一方で、すき家のような牛丼チェーン店は、競合各社と味の違いはもちろんあるが、「ここでしか味わえないグルメ体験」とまでは思われていない点が大きい。結果的に「もし“すき家”がなくても、吉野家や松屋が残っていればいい」と感じさせてしまっていることは否めないだろう。
FC店舗のため本部の責任は少ない、とされた
続いての擁護要因は、FC店舗での不祥事ゆえに、本部の責任が少ないことだ。「すき家」では「食の安全や品質を徹底して管理するため、そのすべてを直営で運営」(公式サイトより)しており、ネズミ混入も直営店舗でのことだった。一般的にFC店舗よりも、直営店の方が、グリップが効きやすいとされる。だからこそ、しっかり衛生管理できていなかった責任が、より大きくなっていた。
一方、今回のゴキブリ混入が起きたのは、FC店舗だった。結果的に保健所報告や、営業停止が遅くなっても「あくまでFC側の初動が遅れたことに問題があり、本部は巻き込まれただけだ」といった見方ができる。
当然ながら、本部にも連帯責任はある。FC店舗であろうと、直営店であろうと、客からすれば関係ない。同じ看板を掲げている以上は、「そのブランド」とみなされる。天下一品では先日、まさにこの構図のもとで臆測が広がっていた。
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