揖保乃糸「パッケージ通りに湯がけば別格の味!」年間1億8000万食の圧倒的シェア、SNSで愛され続ける120年ブランドが"夏の王者"であり続ける訳

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

約600年前から伝わる手延べ製法は、時代とともに一部は機械化された。けれど、手作業と五感に頼る確認は、今も変わらないのだという。製造されたそうめんは「検査指導員」による厳しい検査を経て、合格したものだけが「揖保乃糸」と名乗ることを許される。

「門干し」と呼ばれる工程
約600年続く手延べ製法で職人が11の工程を経てつくる。画像は箸で麺を均等にさばく「門干し」と呼ばれる工程(組合提供)

質の高いそうめんを年間1億8000万食も作れるワケ

ふと疑問がわく。手作業と五感による確認作業のあるものを、なぜ年間1億8000万食(=約2万トン)も作れるのか?

実は、揖保乃糸は1企業で製造されているわけではない。約380ものそうめん生産者が連携して製造している。

現在製造を担うのは西播磨エリアに点在する生産者(個人工場)で、その数384名(※2024年8月現在)。彼らが加盟するのが、揖保乃糸のパッケージに記載されている団体名「兵庫県手延素麺協同組合」(以下、組合)なのである。

組合の前身は明治20年に発足し、明治39年には商標「揖保乃糸」を登録。等級制度(後ほど説明します)や品質検査の基準を定めた。当時から「基準を満たさなければ不合格」という姿勢を貫いている。

揖保川
揖保乃糸の生産地、兵庫県西播磨地方は瀬戸内気候で自然豊かな地域。揖保川は、古くから揖保乃糸製造を支えてきた水脈で、水量の豊かな川(筆者撮影)

品質基準を守るための「5つのルール」は、以下の通りである。

1つ目は、原材料は一括仕入れであること。

製粉会社の協力により品質の高い小麦粉の安定供給を受けられる体制を整えており、干ばつや豊作など品質変動がある年は、試作と検査によって品質のブレを最小限に抑えてきた。小麦粉供給が危ぶまれた2022年も、安定量を確保することができたそうだ。

小麦畑
西播磨では小麦栽培も盛んで、4月は青々とした小麦畑が広がっている(筆者撮影)
次ページ製造は「冬限定」、時期まで定められている
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事