寝台特急「サンライズ出雲」で駅弁が買えるウラ技 新見市内の弁当業者が駅ホームに届けてくれる
このとき、私が受け取った駅弁は、前出の「さらば381 勇退辨當」。新見は日本初のキャビアの養殖に成功したことで有名なので、大阪屋さんは最初はキャビアを入れる予定で工場へ視察に行ったが、あまりに単価が高くて断念。そこで別の新見名物を探し、地元産の和牛「千屋牛」(ちやぎゅう)を入れた。許可取りなどを経て、完成した弁当は、6月に300食販売すると報道したら、予約だけで完売。あわててそこから500食を追加した。
もうひとつ、湘南色車両の掛け紙「ヒャクジュウゴ伯備線勇姿弁当」は、2024年9月に販売した。ちょうど115系湘南色が引退する時期で、撮影会イベントが行われ、そこで出されたお弁当を一般発売した。
これら2つは、在庫があれば、今でも買える。

駅弁文化を維持するためにできることは?
「昭和40年代には大阪屋でも1日にお弁当を1000個売り、従業員も50人ほどいました」と竹井さんが話すように、かつてはターミナル駅として賑わった新見駅だが、1日の乗車人数は、2004年度以降、1000人を下回り、減り続ける一方だ。
しかし今回のように、イベントなどで新しく駅弁を作って宣伝すれば、かなりの反響があることがわかった。これは駅弁業界にとっても良いニュースなのではないだろうか。
駅弁は、その土地のおいしいものをギュッと詰め込んだ宝箱のようなもの、とつねづね話をしているが、なくなってしまったら、元も子もない。昨今の人手不足や材料費の高騰など、作り手にとっても問題は多いが、その火を絶やさないためにも、私たちができることは、日頃から駅弁を買い続けることしかない。私の本が、駅弁に興味を持ち、手に取ってもらえる、ひとつのきっかけになれば大変ありがたいと思う。
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