寝台特急「サンライズ出雲」で駅弁が買えるウラ技 新見市内の弁当業者が駅ホームに届けてくれる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方、特急「やくも」が2022年に引退表明した頃、近隣の駅弁屋さんが「さよなら弁当」を出し始めた。そこで坪内さんは大阪屋さんに引退記念駅弁を作らないか、と2024年4月に話を持ちかけた。そして生まれたのが「さらば381 勇退辨當」だった。

そのときのやりとりから、坪内さんも「サンライズでお弁当の受け渡しをしている」ことを知り、私に教えてくれたわけだ。ちなみに坪内政美さんは2025年4月から新見市の「鉄道観光アドバイザー」として鉄道を使ったイベント企画など新見を盛り上げる活動をしている。

大阪屋の社長、竹井正樹さん(筆者撮影)

このときの旅で、大阪屋さんに興味を持った私は、臨時サンライズの旅の帰りに新見駅で下車し、店舗まで予約した駅弁を買いに行ってみた。大阪屋さんは駅からすぐ。駅弁の話をしつつ、社長の竹井正樹さんに話を聞いた。

「大阪屋は江戸時代中期から、酒屋に始まり旅館業を営んだとのことでした。昭和になっても、当時新見は物流・交通の中継地として賑わっていたようです。お客様には、あの自由民権運動の父・板垣退助、将棋の大山十段、横綱の千代ノ山、当時関脇の力道山(その後プロレスラー)、歌手の春日八郎さんなどがいて、色紙が残っています。同時に駅弁事業を昭和20年代後半まで並立させていました」

知る人ぞ知るサービスだった

1929年に大阪鉄道局から新見駅構内営業が認可され、新見駅でのホーム立売を開始。同年、岡山鉄道局から伯備線社内営業が認可され、列車内の立売も開始する。

「長年、特急『やくも』の車内販売に大阪屋のお弁当を積んでいましたが、2009年9月末に廃止。現在は、市内を中心に仕出し料理やお弁当の店頭・ご予約販売をしております」

寝台特急「サンライズ」に駅弁を届けるサービスは、「昔から、JRの要望があれば届けていました」とのこと。知る人ぞ知るサービスだったようだ。

同じく坪内さんプロデュースの「ヒャクジュウゴ伯備線勇姿弁当」(大阪屋)(写真:坪内政美)
この記事の画像を見る(8枚)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事