首相が続投できるケースは1つだけ… 加速する「石破降ろし」でこれから起こりうる《3つのシナリオ》

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前倒し総裁選が実現した場合に「ポスト石破」の有力候補とされる高市早苗・前経済安全保障担当相は、両院議員総会以降の記者団の取材などに「心にとっくに決めている。組織がうまくいかなかったときのリーダーの責任の取り方については、自分なりの考え方がある」として、前倒し支持と実現した際の総裁選への出馬を事実上明言した。

高市氏
総裁選への意欲を隠さない高市早苗・前経済安全保障担当相(写真:ブルームバーグ)

そこで注目されるのが、8日に総裁選前倒しが決まった場合の、実施の段取りと石破首相の対応だ。すでに党内有力議員や各メディアからさまざまな“予測”が示されている。

旧派閥の領袖が「政局混乱や党分断に歯止めをかける最善の方策」とするのは、8日に総裁選前倒しの可否が決まる前に石破首相が自ら退陣表明するというもの。そうなれば、「ポスト石破」の総裁選の日程設定の選択肢も増えるうえ、「新総裁決定を受けた次期臨時国会の召集日程も決めやすくなる」(自民党の国会対策幹部)のが間違いないからだ。

しかし、「石破首相が『続投』にこだわる限り、このケースは消える」(自民党長老)のも事実。となると、次は「前倒し実施が決まった場合、石破首相も総裁選に出馬し、続投の可能性を追求するケース」が想定される。すでに党執行部の中から「前倒し総裁選でも、石破首相の出馬は可能」との見方も出ており、石破首相周辺も「首相の判断次第」という受け止めだ。

ただ、政界関係者の間では「前倒し決定は『総裁不信任』そのもの。政治論的には石破首相の再挑戦はありえない」との見方が支配的。これは、総裁選前倒しが決まった時点で石破首相が「総裁選不出馬」という形で退陣表明することを前提としたもので、「現状では最も有力視されるケース」(政治ジャーナリスト)との見方が多い。

そうした中、官邸周辺では「前倒し決定を受けて、石破首相が衆院解散に打って出る」との“怪情報”も飛び交う。ただ、現行憲法下で閉会中の衆院を解散した例はない。「臨時国会を召集したうえでの冒頭解散しかない」(衆院事務局)とされるうえ、「衆院解散には閣議決定が必要だが、現状では相当数の閣僚が反対するとみられるため、政治的には極めて困難」(同)だと考えられる。

ご意見番の“憂慮”にどう応えるのか

こうした分析から、「石破首相が続投できるのは、総裁選前倒しが不成立だった場合だけ」というのが大方の見方。「そもそも、自民党内の混乱で政治的空白がさらに長引けば、物価高に苦しむ多くの国民の自民党批判は頂点に達し、自公政権の安定化など見果てぬ夢になる」(自民党長老)のは避けられない。

「政界のご意見番」として知られる伊吹文明元衆院議長は、自らのSNSに「政権与党の現状は、(首相の進退より)もっと大きい政治空白。石破総裁や自民(所属議員)に猛省を促したい」と書き込んだ。

これについて、政界には「まさに正論中の正論」(同)との声が広がる。はたして石破首相はどのような決断を下すのか。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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