首相が続投できるケースは1つだけ… 加速する「石破降ろし」でこれから起こりうる《3つのシナリオ》

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野田佳彦代表は、石破首相が続投した場合の次期臨時国会では内閣不信任決議案を提出するのに及び腰とされる。「不信任を出して石破首相が解散に打って出ると、野党が共倒れで自民が漁夫の利で議席を増やす可能性がある」(同党幹部)との不安が根本にあるとされ、「攻めるはずの立憲が、石破首相の続投を後押しするという与野党攻防の歪み」が生じている。

野田代表
立憲民主党の野田代表の“及び腰”が事態を複雑にしている(写真:ブルームバーグ)

動き始めた事実上の「総裁リコール」

自民党は「9月の大政局」の重要な分岐点となる参院選敗北の総括とそれを論議する両院議員総会を2日午後、党本部で開催した。

総会の冒頭、石破首相は昨年9月の総裁選時を振り返り、「石破であれば変えてくれると期待をいただいた。その思いに応えることができなかった」と、“石破らしさ”を失ったことへの反省を強調。そのうえで、7月の参院選の大敗に関して「期待を裏切ったことで、多くの同志を失うことになった。総裁である私の責任だ」と頭を下げた。

自身の進退についても「地位に恋々とするものではない。責任から逃れず、しかるべき時にきちんとした決断をする」と明言。ただ、その時期について明言しなかったことが、「出席議員らの不信・不満に火をつける結果」(党幹部)となった。

約3時間に及んだ質疑では、出席した国会議員233人のうち35人が発言。「石破首相の早期退陣を求める意見が圧倒的多数で、続投を支持する議員の声はほぼかき消される状況だった」(若手議員)。

出席した有力議員は「参院選の敗因などを盛り込んだ総括に首相個人の責任が盛り込まれなかったことが、『石破降ろし』をさらに勢いづかせた」と、党執行部の対応のまずさを指弾した。

両院議員総会での論議を踏まえて、自民党は結党以来初となる事実上の「総裁リコール」の手続きに着手。党執行部と総裁選挙管理委員会は「総裁選の前倒しを求める議員は8日午前10時~午後3時に党本部に署名・捺印した書面を提出。同時に各都道府県連も代表者が同様の書面を提出」するとの方針を決め、公表した。

こうした党執行部の対応について、党内からは「メディアが集結している党本部で、自ら顔をさらして前倒し要求の書類を提出するのは相当の覚悟が必要」(無派閥若手議員)との不安を漏らす向きもある。

その一方で、「国会議員としての信念を示せなければ、議員を続ける意味がない」と胸を張る議員も少なくない。主要メディアによる各議員の「意向調査」でも「数字的には『前倒し派』が日増しに拡大している」(調査関係者)という。

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