≪WBCネットフリックス独占中継≫ネガティブ反応殺到に見る、日米の"常識"の差

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そもそも野球というスポーツは、表と裏の間、回と回の間、投手交代の時間など、広告を入れるチャンスがたくさんあり、それも中継する上で魅力である。日本中が注目する大イベントWBCを、広告なしでネットフリックスが配信するなど、考えられない。

自社作品の宣伝をするまたとない機会でもある。すでに日本でも話題になっているネットフリックスドラマの広告を入れることで、WBCだけのために新規加入した人は「ああ、これ、みんなが面白いと言っていたやつか」と、せっかくだから見てみようと思うかもしれない。

WBC放映権を獲得した深謀とは?

全世界で膨大な数のコンテンツを制作するネットフリックスには、以前からの会員も見逃している優れた作品も多数あるので、その人たちにも発見のチャンスを山ほど与えられる。ネットフリックスがワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)に具体的にいくら払ったのかは不明ながら、莫大と思われる金額に合意するうえでは、そのあたりも計算に入っていたはずだ。

こうしたトレンドが嬉しいかと問われると、個人的には「ノー」だ。おそらく、多くの人が同じ思いだろう。そもそも、ケーブルパッケージの値段が高いから、配信が普及し始めた時、人は“コード・カッティング”をした。なのに、今や、あちらにもこちらにも入り、前と同じくらいの値段を払わないと、たったひとつの好きなスポーツすら追いかけられなくなってしまったのである。

今回の日本のWBC騒動は、そんな大きな流れの中で起きたものにすぎない。日本の野球ファンが好む、好まないにかかわらず、状況は変化していっているのだ。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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