クラブW杯は全敗、30年でJ1優勝1回、埼スタ管理者から除外… 三重苦にあえぐ「浦和レッズ」が完全復活へ掲げる"のろし"

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「われわれにはWEリーグ(日本女子サッカーリーグ)に参戦している三菱重工浦和レッズレディースもありますが、彼女たちも昨季の女子ACLで中国の武漢江大に負けて、ベスト8で敗退してしまいました。それを受けて、どんどん国際経験を積ませた方がいいと判断し、今年は女子トップチームがアメリカに遠征し、ユースチームもスウェーデン遠征を行いました。

円安の影響で海外遠征のハードルは以前より高くなっていますが、女子チームのアメリカ遠征はご招待いただき実現しました。こうしたチャンスを最大限に生かしながら、選手1人ひとりの成長につなげていくことが重要だと感じています」(田口社長)

人件費31億円でも13位にとどまった2024年度

サッカークラブは、資金力と成績が比例する傾向が強い。2020年代に入ってからUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)で2度優勝しているスペインのレアル・マドリードは売上高が1500億円をゆうに突破している。今回のクラブW杯でも浦和は全32チーム中で最下位に近い状況だった。

「強いチームを作りたければ、資金力も必要である」というのがサッカー界の常識。そこは田口社長もよく理解している点だ。

「世界的にはクラブの収益規模と成績はほぼ連動しています。そうした中で意外だったのは、クラブW杯でベスト4入りしたブラジルのフルミネンセです。彼らの資金規模は浦和の2倍には達しておらず、少し上という程度。それでも躍進したという事実があることを、Jリーグ実行委員会の場で野々村(芳和)チェアマンも話していました。そのあたりの検証をより詳しく行っていきたいと思います」(田口社長)

田口誠社長
勝てなくても儲かる――。しかし、その状況に甘んじていては、いずれはサポーターたちも離れていきかねない。田口社長の苦悩は浅くない(撮影:尾形文繁)

それと同時に浦和がやるべきなのは、投資に見合った成績を収められていないという厳しい現実を打破することだ。

Jリーグが公開した浦和の2024年度のトップチーム人件費は31億8600万円で、Jリーグ全60クラブでトップ。にもかかわらず、成績はJ1で13位、YBCルヴァンカップでは3回戦敗退。田口社長が言う「つねにACL出場権を確保する」順位にはほど遠かった。

2025年度は昨季より好位置につけているが、圧倒的な強さを示しているわけではない。最大のターゲットと位置づけていたクラブW杯も当初、参加するだけで50億~60億円の出場給を得られるという話もあったが、実際のところは13億円。1試合当たり3億円の勝利給も手にできなかった。

次ページ「僕らは30年で1回しか優勝していない」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事