アメリカ3.9年に対して日本は12.4年!「圧倒的に長すぎる平均勤続年数」への対応が日本経済《再生》のカギになる

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日本における転職の状況について、「直近の転職者及び転職等希望者の動向について」(総務省統計局労働⼒⼈⼝統計室)が興味深いデータを提供している。

これによると、2023年第3四半期において、転職者(325万⼈)の就業者に占める割合(転職者⽐率)は4.8%で、1年前に⽐べて0.2ポイント上昇した(6期連続の上昇)。そして、 転職等希望者(1035万⼈)の就業者に占める割合は15.3%で、1.1ポイント上昇した(10期連続の上昇で、過去最⾼)。

男女別に見ると、かなりの差が確認できる。男性の場合には、転職等希望者の就業者に占める割合は、2019年頃までは10.5%程度であまり大きな変化がなかったのだが、その後は顕著に上昇した。そして、2023年第3四半期には14.2%程度まで上昇している。

ところが、それにもかかわらず、転職率は上記の期間を通じて大きな変化が見られない(女性については、このような変化は確認できない)。

原因としては、次の2つが考えられる。第1は、転職したいと考える男性は増えているにもかかわらず、企業側で中途採用の需要が増えないこと。第2は、転職はしたいのだが、転職市場が発達していないため、望むような転職先が見つからないことだ。

第1の原因である場合には、企業側が人事政策を見直すことによって、転職者が増加するだろう。第2の原因である場合には、転職市場の整備が重要な政策課題となる。

高度成長を支えた「日本型雇用体制」の終焉

いずれにせよ、男性の転職希望者が増えているのは注目すべき事実だ。対処のいかんによっては、日本の雇用状況は大きく変わる可能性がある。

日本型雇用体制は、高度成長の実現に大きな役割を果たした。 これは、当時の製造業を中心とする経済構造が日本型雇用体制にうまく適用したからだ。 しかし1980年代頃以降、世界経済は大きく変貌しており、この体制の限界が目立つようになっている。

高度成長を支えた経済体制がさまざまな面で変革を要請されている。その中でも重要性が高いものが雇用の体制だ。新しい産業構造に適用した社会となるために、 日本型雇用体制から脱却することが求められている 。

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