なぜ丸亀製麺は香川県内では「圧倒的大敗」? はなまるうどんよりも店舗数が少ないが…味だけではない根本的な要因

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丸亀製麺も、これほどの好条件が揃っている場なら、生き残れるのではないか。むしろ、ここでダメなら、香川県内のどこに出店できるのか?……「丸亀製麺・高松レインボー通り店」の今後を、静かに見守りたい。

ただ実は、丸亀製麺が香川県で出店できない理由はもうひとつあり、経営姿勢が何度も蒸し返される要因ともなっている。「単価の高さ・ライバルチェーンの多さ」「営業上の問題」よりも、県民感情的にある意味深刻な「過去の商標問題」について触れよう。

丸亀から来たうどん店に「丸亀の看板を降ろせ」?尾を引く「商標独占」騒動

丸亀製麵
丸亀製麺の1号店・加古川店(筆者撮影)

まず、事の次第を整理しよう。

丸亀製麺は2011年のハワイ進出からアメリカ・北米への出店を進めており、商標登録「MARUKAME」を取得した。この名称はあくまでも地名・うどんや小麦の産地(香川県丸亀市)であり、各国とも地名での商標取得に至らないケースも多いものの、ここはアメリカとあってそのまま取得に至ったようだ。

ここに、丸亀市のうどん店で修業した職人の方が、ロサンゼルス・日本村プラザ近くに個人経営のうどん店「丸亀もんぞう」を出店した。その後の次第を、自らロサンゼルス入りして指導を行ったという「丸亀もんぞう」師匠筋にあたる関係者は、ラジオ(エフエム香川「うどラヂ」2013年6月28日放送)でこう語っている。

「やっと軌道に乗り出してお客さんも増えてきた矢先に、内容証明付きで『丸亀もんぞう』は商標権に触れると。『丸亀製麺』の丸亀が同じものをロゴとして使っとるじゃないかと。1カ月以内に看板や、あらゆる文章から丸亀という表記を外せと。こういう内容証明がきた」

いわば、丸亀市から特産物の「うどん」を引っ提げてアメリカ進出した個人店に、地元出身ではない商標が取れただけの企業が「『丸亀』の名前はうちが独占する」と、内容証明付きで圧力をかけたようなものだ。その後程なくトリドール側から「今後この件に関してアクションを起こさない」とコメントが出され、事態はいったん収束に向かっている。

丸亀製麵
丸亀製麺の店内に飾られている讃岐富士(飯野山)の写真(筆者撮影)

ただ実際、トリドール側のコメントは「判断が間違っていた」ではなく「この件ではアクションを起こさない」であり、先述のラジオでは、紛争が解決したことに、関係者が涙声で安堵の声を漏らしていた。

同様の事態が生じた場合、天下のトリドールホールディングスを相手取って係争を起こそうという個人の経営者がいるとは思えず、「トリドールは自分と所縁もないローカルブランドを勝手に使って、商標で圧力をかけてくる会社」という恐怖だけを残して、問題を終結させたようなもの。

まったく丸亀に所縁のない業者ならいざしらず、圧力をかけたうえに「今後アクションを起こさない」で済ませるのは、「解決」なのだろうか……という印象を、少なくない香川県民が抱くことになってしまったのだ。

また、トリドールはそれまで、「ざるうどんの竹すだれのカビ発覚→1カ月放置後に騒ぎになってから謝罪」「明らかに無理がある多量出店・多量撤退」など、外食企業として規模拡張に走りすぎた危なっかしい面が、たびたび露呈していたことも否めない。

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