沖縄尚学・悲願の夏優勝 沖縄県勢が「参加したくてもできなかった‥」歴史と抱えてきた不平等。県民が甲子園に一丸となる「深い事情」

前編:『甲子園優勝で沖縄の道路ガラガラに?「テレビをつけて応援する職場」に「イオンでの大熱狂」“一致団結の大フィーバー”を沖縄記者が解説』では甲子園優勝に一致団結で盛り上がる県民の様子を紹介した。
後編では、なぜ沖縄では甲子園が“県民的大行事”なのか、甲子園に参加したくてもできなかった沖縄の歴史を踏まえて、沖縄出身・在住の筆者が解説する。
なぜ沖縄県民は甲子園に熱狂するのか?

職場ではテレビをつけて甲子園を応援し、沖縄県最大級の商業施設「イオンモール沖縄ライカム」でのパブリックビューイングには1000人超が詰めかけ、沖縄の居酒屋は大盛況──ヒトやカネが大きく動いているのが体感できるのが、甲子園決勝戦の8月23日だ。
そこで、読者のみなさんの素朴な疑問は、容易に想像できる。
「なぜこうまでして盛り上がっているのか」問題である。言い換えると「なぜ母校でもない、身内でもない高校の、野球の部活の大会で全県的に団結できるのか」問題だ。
要因はいくつか考えられるが、まずは、選手のほとんどが沖縄県出身選手だということだ。今大会を例に挙げると、沖縄尚学のベンチ入り20人中18人が沖縄県出身選手で「地元・沖縄の代表校」という印象が強い。ベスト4に残った県立岐阜商業高校など公立高校は、どこの都道府県も地元の選手が同じように多いが、沖縄県勢の場合は沖縄尚学、興南、エナジックスポーツといった私立の強豪校でも県出身選手が多い。
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