「うまくいくわけがない」「バカが作った制度」と怒る経営者も…政府が推進する《外国人ドライバーの雇用》が直面する“厳しすぎる現実”
外国人ドライバーを採用する場合、前述の通り、政府が義務づける安全教育の現場負担が日本人労働者に比べて大幅に増加する。同じ安全基準を達成するまでに時間とコストが倍増するケースも少なくない。
企業が直面する「二重の負担」
一方で、ドライバーの労働条件を見てみると、日本人のドライバーを雇用するのも難題だ。2024年2月のドライバーの有効求人倍率は、2.76倍と、全職種の平均1.26倍よりも高く、慢性的な人手不足を抱えている。
その理由として、労働時間の長さと、その割に低い給与があげられるが、これはかねて言われてきたことだ。しかし依然として対策されていないのが現状なのだ。しかも、前述のクロスマイル社の調査によると、物流事業者の2割は、会社を辞めたドライバーの退職理由を「わからない」と回答している。
業界の働く環境を改善しないばかりか、状況も正しく把握できないようでは、日本人ドライバーを採用することは難しい。
ドライバーという職種の特性上、一歩間違えば重大事故につながりかねないため、企業側に外国人労働者への不安があるのも事実だが、外国人か日本人かという選択の余地がないのは明らかな状況である。
企業は今、人手不足への対応(攻め)と安全性の担保(守り)という相反する課題に同時に取り組まなければならない。採用を強化すればするほど教育負担が重くなり、安全性を重視すれば人員確保が困難になるーーまさに八方塞がりになっている。
ただでさえ人手不足が深刻化する中、企業だけにこの重荷を背負わせるのは限界がある。政府には制度設計だけでなく、現場の実情を踏まえた実効性のある支援策が求められているのではないだろうか。
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