「うまくいくわけがない」「バカが作った制度」と怒る経営者も…政府が推進する《外国人ドライバーの雇用》が直面する“厳しすぎる現実”

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

反対に、「人材として適性があれば国籍は問わない」と歓迎する経営者も、受け入れに関するノウハウがないため、現状では外国人雇用を推進していないのが実情だ。

訪日外国人の事故率は約5.5倍

また、「日本の交通ルール・マナーへの習熟に時間がかかる」と、安全面の課題を不安に感じる経営者も多い。

物流企業は、従業員に対する国指定の安全教育を実施する義務がある。ましてや交通文化の違いがある外国人従業員に対して、安全教育はより重要になるだろう。

実際に、交通事故総合分析センターの2019年データによると、訪日外国人のレンタカー事故率は日本人の約5.5倍、居住外国人でも約3.9倍に上っており、交通文化の違いが事故率を高めてしまうと考えられる。

安全教育はこれまで当然のように日本語で実施されてきた。そして日本の道路標識や看板は、日本語表記のみのケースも多い。外国人雇用をする場合の安全面の教育についても、現状は企業任せになっている。

それにもかかわらず政府は、外国人の受け入れ数を増やすために、トラックドライバー職は「基本的な日本語を理解できる(日本語能力試験〈JLPT〉N4)」レベルの日本語力であれば十分としている。

日本語能力
(出所:「日本語能力試験」公式サイトより)

日本の交通ルールを理解し、安全に運転して荷物を運ぶこと。関係者へスムーズな接客を行うこと。日本語を話す日本人でも一定の技量が問われるこの業務が、基本的な日本語理解のみでどこまでできるのかは、はなはだ疑問である。

次ページ時間とコストが倍増する
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事