「沖縄の“南北問題”に一石を投じる」「北部観光の起爆剤」と期待されたが…《ジャングリア沖縄》オープン前のリアルな沖縄県民感情の実態
一方で北部地域は、場所にもよるが那覇から車で概ね1~2時間程度もかかり、人口が少ないため、特に経済インフラ面で不利な状況にある。そのため、沖縄県と国が2002年に初めて制定した「沖縄振興計画」でも「県土の均衡ある発展」が掲げられており、離島や北部地域の振興が目指すべき目標として存在している。豊かな自然を生かした観光業や農林水産業の活性などに取り組んでいる。

前置きが長くなったが、そんな現状や背景の中でよく耳にする言葉として「北部振興」があるのだ。
北部振興の“切り札”として地元企業も多額の出資
その「北部振興」の文脈で期待と共に持ち上がってきたのが「ジャングリア沖縄」だった。総事業費は約716億円。そのうち約半分の350億円は民間からの出資金であり、そのさらに7割は「オリオンビール」、小売業などを展開するリウボウグループの親会社「リウボウ」、リゾートホテル業や土建業をグループに持つ「ゆがふホールディングス」など複数の沖縄県内企業からのもので、県内経済界がジャングリア沖縄に抱く期待感は一定程度あったと言える。
また、ジャングリア沖縄が沖縄観光の日程に組み込まれることで、こんな効果も期待される。ある地元紙記者は「ジャングリア沖縄は那覇空港から遠く、行けばほぼ1日中を使う施設です。となると、必然的に沖縄滞在が1泊延びることになります」と話す。
沖縄観光では長らく、滞在日数の少なさと、それに伴う一人当たりの消費額が少ないことが課題の1つになっている。沖縄とハワイの年間の観光客数は一時期コロナ禍での落ち込みはあったものの、両者とも年間約1000万人の水準だ。しかし平均の滞在日数に差が見られ、2019年の沖縄県の調査で、沖縄4~5日間に対し、ハワイは8~9日間。延べ人数で言えば約2倍の違いが生まれているのだ。これらの課題解決の一助としての可能性もあった。
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