ウォール街とオバマ大統領、言葉は一見手厳しいが具体的な行動は手ぬるい

オバマはさらに、政府はニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官を長とする新たなタスクフォースを創設し、大手金融機関が低級な住宅ローンを束ねて証券に仕立て上げ、“価値ある投資商品”と販売してきたことに対し、詐欺の可能性を調査させると語った。

しかし、「政権はあまりに弱腰であり、刑事訴追による不正根絶を怠ってきた」との批判は絶えない。オバマは、約束したSEC強化法案をいまだに提出していない。連邦検察もリーマンショックを引き起こした手法の根絶より、インサイダー取引の処罰を重視している。SECは、不正防止のための権限強化を求めたが、その後は尻すぼみだ。

数カ月前、ニューヨークのジェド・ラコフ連邦地裁判事は、SECがシティグループとの間で合意した2億8500万ドルの和解の承認を拒否した。シティに不正を認めさせることを求めていなかったからだ。

不可解なことに、SECはこの判決に対しシティとともに控訴した。SECは判決をテコに、ウォール街の取り締まりを強化する機会を得たのに、現実にはウォール街の金融機関や幹部たちを法の拘束から逃れさせる道を選んでいる。住宅ローン危機についても、SECの強化についても、また、不正なサブプライム市場に関し銀行や金融機関に責任を取らせることについても、オバマ政権は言葉では手厳しいことを言う。しかし言葉に反して、実際の行動はなぜかまったく手ぬるい。

(ニューヨーク駐在・特約:ピーター・エニス =週刊東洋経済2012年4月14日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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