Netflixの「アニメ最強化計画」は今が攻め時?「SAKAMOTO DAYS」や「NARUTO」が世界で大人気!…一方、ひそかに抱える“ジレンマ”とは

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非独占に頼ってばかりではなく、「ポケモンコンシェルジュ」のような独占オリジナルもランキング入りしていますから、方向転換したというわけではなさそうです。

実際、坂本氏は「方針を掲げているわけではない」と話しています。その理由として「アニメのエコシステムの中で、権利元がどのようなポジショニングを取るのか、その状況によって(非独占か独占かは)変わる」と説明しています。

つまり、権利元に判断が大きく委ねられているということです。たとえば、ソニーグループが保有する「鬼滅の刃」は非独占が絶対条件です。それによって多くのプラットフォームで展開され、劇場やマーチャンダイジングの収益アップにつなげる手法が取られています。一方、Netflixは配信権の1つを購入する以外になす術はありません。

坂本和隆
坂本和隆氏(画像:Netflix)

『千と千尋の神隠し』は日本でも見れるようになる?

Netflixが手を挙げれば購入できるというものでもないのです。それはジブリ作品がそうです。

計24本のジブリ作品が日本と北米以外のNetflixで非独占配信され、2025年上半期だけで『千と千尋の神隠し』が600万ビューを記録し、全体で4000万ビューに上る好成績ですが、これらが日本のNetflixでも解禁されるかどうかは未知数です。

ずばり、話し合いが行われているのか坂本氏に質問すると「こういうのはご縁だと思っています」と回答があり、どうやらテーブルに乗った状態ではなさそうです。替わりにNetflixとしての考えを言葉にしました。

「こちらから押しかけるよりも、作品にとってなぜ配信する意味があるのかという答えがあることのほうが重要だと私は思っています」

いち視聴者の立場からは、アニメを見るならNetflixという地位を築いた今が、そのタイミングにあるように感じます。独占と非独占というある種のジレンマを抱えながらも、Netflixアニメ最強化計画は攻め時のはずです。

【もっと読む】【実写ドラマ《ONE PIECE》シーズン2】ついにお披露目の「チョッパー」は見た目がSNSで話題に!/キャスティングから見えるNetflixの深謀遠慮 では、コラムニストの長谷川朋子氏が、実写ドラマ「ONE PIECE」から浮かび上がるNetflixの深謀遠慮について詳細に解説している。
長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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