「もしも自宅が水害の被害を受けたら…」。浸水した家のその後、片付けや掃除はどうすればいい? 《水害時の掃除の新常識》

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霧島市の資料

水害対応設備として送風機や排水ポンプを貸し出している自治体もある(画像:鹿児島県霧島市HPより)

水害後のトラブルを防ぐために

■壁材の除去

水害後、「壁の表面を掃除しても、何度もカビが生えてくる」という相談は少なくありません。中谷氏は、室内は生活空間であるため、濡れたものを物理的に取り除き、乾燥させ、消毒するという工程が重要であることを説明します。

その方法として、壁紙やクロスを剥がし、厚さ約1cmの石膏ボードを外します。その奥にある断熱材を取り除くところまでが「内装解体」にあたり、これらを順に撤去していきます。この作業には、およそ15〜20人の人手が必要です。

建築業者が壁内部を診断してカットする位置にラインを引いている
建築業者が壁内部を診断してカットする位置にラインを引いている(写真:中谷岳史氏提供)

災害時は大工や工務店、建築会社が多忙になるため、可能な範囲までは住民やボランティアが作業を担います。ただし、備え付けのカップボードや造作家具など、専門的な技術が必要な部分はプロに任せることが安全です。

壁をカット
床に傷がつかないよう養生後、壁をカットし断熱材に到達(写真:中谷岳史氏提供)

このように作業を住民と専門業者で分担することが大切であり、DIYスキルがあれば内装解体も十分に可能だとされています。

その際、電気配線に関する安全確認もマニュアルに記載されています。

安全対策
(画像:株式会社荏原製作所『住宅における水害対応マニュアル』イラスト中井伶美、P3より)

以下は、水分を吸った断熱材の写真と、断熱材を除去した壁の写真です。石膏ボードも水に濡れていることがわかります。これも乾かすことが重要です。

水を吸った断熱材の中身
水を吸った断熱材の中身(写真:中谷岳史氏提供)
断熱材の除去
断熱材を除去した壁(写真:中谷岳史氏提供)

断熱材の除去の方法は、荏原製作所『住宅における水害対応マニュアル』からダウンロードできるようになっています。

資料のQRコード
(画像:株式会社荏原製作所『住宅における水害対応マニュアル』イラスト中井伶美、P4ーP5より)

使用する工具は下の写真のように整理されています。

整理された工具類
整理された工具類(写真:中谷岳史氏提供)
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