「もしも自宅が水害の被害を受けたら…」。浸水した家のその後、片付けや掃除はどうすればいい? 《水害時の掃除の新常識》

斜めに三角形の形にカッターで切ると、細かいところに対しても使うことができます。これで、部屋の端などを洗い流します。最後に水を床全面にかけて、床水切りワイパー(スクイージー)を使って押し流し、残った水分は、スポンジで吸い取り、絞って捨てるようにします。

このように、雑巾拭きはしないで水で押し流すことを心がけると、復旧が2倍程度、早まるとのことです。掃除後の写真は以下のようになります。

また、「ポリ袋はゴミを入れると破れてしまうため、災害時には、ガラ袋が重宝します」と中谷氏。

掃除が終わったら……
■床を残してダクトファンで乾燥させる
掃除が終わったら、床下の乾燥作業に移ります。土砂災害で大量の泥がたまった場合は、床材を剥がすしかない場合もあります。
一方、浸水被害では、中谷氏は床上浸水であっても床材を残す方法を推奨しています。その理由は、床を剥がさずに作業したほうが効率的かつ経済的であり、床下から舞い上がるカビに、住民が直接さらされるリスクを減らせるからです。
具体的には、工業用ダクトファンで床下の湿気やカビを含んだ空気を外へ排出する方法が有効とされています。

工業用ダクトファンは、インターネットやホームセンターでおよそ1万〜2万円で購入できます。これを2台使用します。家庭用のサーキュレーターでは風を直進させる力が不足するため、代用は難しく、工業用ダクトファンの使用が必要です。
作業は、まず床下点検口や和室の床板を一部外し、床下に50センチほどの開口部を確保します。そこにダクトファンを土間や地面に設置し、外から室内、室内から床下へと空気を循環させながら、湿気を外へ排出する換気経路を作ります。これにより床下を効率的に乾燥させます。
乾燥には少なくとも2カ月程度かかります。水害では単に濡れるだけでなく、50センチ〜1メートルほどの水圧がかかるため、木材の深くまで水を含んでしまい、完全に乾くまでに時間が必要になるのです。
ダクトファンで乾かすのは、基礎の上にある土台までです。柱、合板、金物など建物の構造の要となる部分も早期に乾燥させる必要があるため、次の壁材の除去の工程に進みます。
なお、2025年8月8日の記録的大雨で住宅被害を受けた霧島市では、市のホームページ上で、霧島市社会福祉協議会が水害対応としてダクトファンの無料貸し出しを開始したことが案内されています。
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