「もしも自宅が水害の被害を受けたら…」。浸水した家のその後、片付けや掃除はどうすればいい? 《水害時の掃除の新常識》

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■掃除のための服装や準備物

次に服装や備品を準備します。

浸水後の建物では、カビ胞子を吸い込むと健康被害の恐れがあります。布マスクや一般的な不織布マスクでは防げないため、DS2以上の防塵マスクやN95マスクを着用する必要があります。

掃除のための服装
(画像:震災がつなぐ全国ネットワーク『⽔害にあったときに」〜浸⽔被害からの⽣活再建の⼿引き〜』(2025年3⽉改訂) P9より)
掃除のための道具や服装
(写真:中谷岳史氏提供)

呼吸が苦しい場合は、防じんフィルター付き呼吸用保護具の使用も検討することになります。また、室内作業用の靴と釘等の踏み抜きインソール、膝あて、使い捨てのつなぎなども必要になります。

今回のように熱中症が懸念される時期は、熱中症対策グッズも必要になります。

■捨てる物と保留する物に分け、家財は一旦全部外に出す

作業効率のため、家財は一度外に出し、「捨てる物」と「保留する物」に分け、場所も分けて置きます。捨てる物は道路脇に置き、ボランティアの人が運びやすいようにします。

中谷氏の体験として、自分で処分場に持っていくと満足感はあるのですが、全体を統括する人が不在になると作業効率が落ちることがわかったそうです。

また、物を捨てる際には動線の確保と、滑らないための工夫が必要です。ヨガマットや、畳などを活用する方法もあります。

玄関の動線と滑らない工夫が大切
動線を確保し滑らない工夫をした玄関の例(写真:中谷岳史氏提供)
ヨガマットで養生した例
ヨガマットで養生した例(写真:中谷岳史氏提供)

床の掃除方法も頭に入れておこう

■掃除方法「雑巾がけは逆効果」

次に、床の掃除をします。

中谷氏は、掃除方法によってその後の復旧期間が大きく左右されると強調しています。例えば、雑巾で床を拭くと泥が広がるだけで、1日経つと再び泥が表面に浮き出てしまいます。結果、この作業を3〜4日も繰り返すことになり、作業効率が著しく低下するのです。

そこで現在、推奨しているのは、洗濯洗剤を10Lのバケツに入れて水で溶いてバシャッとまく、そして緩やかに擦る(こする)方法です。

バケツに水と洗剤を入れ床にまき、ゆるくこすった状態
バケツに水と洗剤を入れ床にまき、ゆるく擦った状態(写真:中谷岳史氏提供)

災害時は興奮していて力を込めて擦りがちですが、そうするとフローリングに傷がついてしまいます。ブラシでゆっくり、柔らかく、擦るのがお勧めとのことです。

床材は、高額なので、傷つけないことが、資金をかけずに復旧するコツになります。この時、「ワックスが剥がれるのでは」という質問がよくあるそうです。

しかし、泥水が数十センチの水の柱になって一定時間圧力がかかるので、有機物が床材内部まで入り込み、「塗っているワックスが剥がれる、という次元ではそもそもない」状況になっています。

掃除には、ホームセンターなどで売っている大きなスポンジ(キッチン用は小さいので、大きなものが特におすすめ)を利用します。

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